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歴史部|アテネ民主制とスパルタの社会

10月8日
読了時間: 7分
1869/1870年のパルテノン神殿内部。William James Stillman撮影。
画像:William James Stillman《パルテノン神殿内部》(The Acropolis of Athens, plate 14、1869/1870)。National Gallery of Art, Washington、Robert B. Menschel Fund、2006.86.4。Public Domain/CC0。Courtesy National Gallery of Art, Washington.

重要なポイント

  • 古代アテネの民主制の完成(ペリクレス時代)について学習した

  • パルテノン神殿の建築様式(ドーリア式)と、デロス同盟の資金をアテネの建設事業に流用したことについて確認した

  • アテネの民主制と現代民主制の相違点(奴隷の存在・女性や在留外人の政治参加の制限・直接民主制)を整理した

  • スパルタの国家体制(軍事重視・対外接触の制限)とリュクルゴスに帰せられる国政について学習した

  • 貨幣経済の定義と、商工業・貨幣経済の発展と貧富の差の関係を確認した

議論されたトピック

ペリクレス時代とアテネ民主制の完成

Aさんが音読し、ペリクレス時代のアテネ黄金期と民主制の完成について確認した。

  • 詳細

    • Aさん: ペリクレスの時代、デロス同盟の資金をアテネの建設事業に流用してパルテノン神殿(ドーリア式)を建設したこと、民会が重要な政治の意思決定を行う機関であり、18歳以上の男性市民が貧富の差なく平等な参政権を持っていたことを読み上げた

    • うえまつ先生: パルテノン神殿とロールスロイスのラジエーター・グリルのデザインが似ているという話を紹介した

    • Cさん: パルテノン神殿に実際に訪れたことがあるとチャットで共有した

  • 結論

    • ペリクレス時代(前5世紀中ごろ以降)はアテネ民主制の完成期とされる

    • 民会は18歳以上の男性市民全員が参加できる直接民主制の機関であった

アテネの公職制度(抽選制・再選禁止・将軍職)

Bさんが音読し、公職の抽選制と将軍職の例外について説明した。

  • 詳細

    • Bさん: 多くの公職はくじ引きで選出され、再任に制限があった。公的活動を支える手当の制度も設けられた。授業では、腐敗・利権を防ぐための仕組みとして説明された。将軍職などでは選挙制で再選も認められていた

    • うえまつ先生: 将軍職が例外とされた理由は、軍事の最高責任者には専門的な能力が求められるためであると補足した

  • 結論

    • 公職の抽選制は公平性を担保するための制度であった

    • 将軍職は専門性の高さから選挙制・再選可とされ、政治上も重要な役割を果たした

古代ギリシャの民主制と現代民主制の相違点

Cさんが音読し、三つの相違点を整理した。

  • 詳細

    • Cさん: ①奴隷の存在(家内奴隷・生産奴隷)、②女性・在留外人(メトイコイ)の政治参加の制限、③直接民主制(代議制ではない)の三点を読み上げた

    • うえまつ先生: これらは大学受験の論述問題における加点ポイントになると説明した

  • 結論

    • 古代アテネの民主制は奴隷制・性差別・直接民主制という点で現代民主制と大きく異なる

    • 論述問題では上記三点を明記することが重要

スパルタの国家体制

Dさんが音読し、スパルタの社会構造について確認した。

  • 詳細

    • Dさん: スパルタはドーリア系のポリスであり、スパルタ市民(スパルティアタイ)・ペリオイコイ・ヘイロータイの三階層から構成されることを読み上げた

  • 結論

    • ヘイロータイの支配と反乱への警戒が、スパルタの軍事重視の背景にあった

    • ヘイロータイの人口はスパルタ市民を大きく上回っていた

リュクルゴスに帰せられる国政(軍国主義・対外接触の制限)

Eさんが音読し、リュクルゴスに帰せられる国政の二大方針を説明した。

  • 詳細

    • Eさん: 軍国主義(ヘイロータイの反乱に備えた強力な陸軍形成)と対外接触を制限する体制(授業では「鎖国」と表現。貨幣経済の浸透による市民間の貧富の差・対立を防ぐため)の二点を読み上げた

    • うえまつ先生: スパルタは穀物自給が可能な農業ポリスであるため鎖国が成立したと補足した

  • 結論

    • 授業では、対外接触の制限と市民の団結の関係を学んだ

貨幣経済の定義

Fさんが音読し、貨幣経済の概念を説明した。

  • 詳細

    • Fさん: 貨幣経済とは物やサービスの交換・支払いに貨幣が広く用いられる仕組みであり、貨幣の蓄積により貧富の差が生じると説明した

    • うえまつ先生: 「商工業の発展→貨幣経済の浸透→貧富の差の増大」という関係を、世界史を比較するための定式として強調した

  • 結論

    • 商工業・貨幣経済の発展と貧富の差の関係を考える視点を学んだ

スパルタ教育の語源(質疑応答)

Cさんの質問をきっかけに、「スパルタ教育」という言葉の由来について議論が行われた。

  • 詳細

    • Cさん: 「スパルタ教育」という言葉は古代スパルタと関係があるのかと質問した

    • うえまつ先生: ブリタニカ百科事典・平凡社世界大百科事典を参照し、スパルタ教育の語源が古代スパルタの厳格な軍国的義務教育に由来することを確認した。7歳ごろからの集団教育と、青年期にも続く厳しい規律について紹介した

    • のぶた先生: 学術書での確認は難しいが、一般的にスパルタ教育はスパルタ由来とされていると補足した

  • 結論

    • 「スパルタ教育」の語源は古代スパルタの極めて厳格な軍国的教育制度に由来する

    • スパルタ市民には青年期にも集団生活の規律があり、夫婦生活にも制約があったとされる

アテネの公職抽選制の理由(質疑応答)

Dさんの質問をきっかけに、抽選制の意図について議論が行われた。

  • 詳細

    • Dさん: なぜ公職が抽選(くじ引き)で選ばれるのかと質問した

    • うえまつ先生: 抽選の公平性について説明し、くじと神意の関係にも触れた。現代日本でも選挙で同数票の場合は最終的にくじ引きで決定されることを例示した

    • のぶた先生: 日本史の例として、くじ引き将軍と呼ばれる足利義教に言及した

  • 結論

    • 抽選制は市民全員に公職就任の資格を認めつつ、不平等を防ぐための制度であった

    • 財政関連など専門性の高い役職は必ずしも抽選ではなかった

参政権年齢「18歳」の意味(質疑応答)

Aさんの質問をきっかけに、18歳という年齢設定の意味と現代との関連について議論が行われた。

  • 詳細

    • Aさん: 古代アテネの参政権が18歳以上であることと、現代日本の選挙権年齢(18歳以上)に関連があるのかと質問した

    • うえまつ先生: 直接的な繋がりは不明としつつ、アテネでは18歳になると所属するデーモスの市民名簿に登録され、正式な市民として認められたことを説明した。AIを用いた調査で身体的成熟との関係も話題になった。原論文と年齢設定の根拠は未確認

    • のぶた先生: 日本史の観点から、日本で民法上の成年年齢が18歳に引き下げられたのは2022年であり、歴史的には律令制下の正丁の年齢区分や、中世以降の慣習的な元服があったと説明した。元服年齢は時代・階層によって異なる

  • 結論

    • 古代アテネの18歳という年齢設定の明確な根拠は現時点では確定できない

    • 日本において民法上の成年年齢が18歳となったのは2022年であり、古代ギリシャとの直接的な繋がりは不明

間接民主主義の意味(質疑応答)

Eさんの質問をきっかけに、直接民主制と間接民主制の違いについて説明が行われた。

  • 詳細

    • Eさん: 間接民主主義とはどういう意味かと質問した

    • うえまつ先生: 現代日本では有権者が議員(代表)を選挙で選び、その議員が政治的決定を行う仕組みが間接民主制(代議制)であると説明した。一方、直接民主制は住民・国民が直接政治的決定を行う仕組みであると対比して説明した

  • 結論

    • 間接民主制(代議制):有権者が代表(議員)を選び、代表が政治を決定する

    • 直接民主制:住民・国民が直接政治的決定を行う(古代アテネの民会がその典型)

スパルタ内部の流通品(質疑応答)

Fさんの質問をきっかけに、対外接触を制限する体制下のスパルタで何が流通していたかについて議論が行われた。

  • 詳細

    • Fさん: 貨幣経済を抑える制度があったと説明されるスパルタでは何が流通していたのかと質問した

    • うえまつ先生: スパルタは穀物自給が可能であり、穀物の流通は当然あったと推測した。また、スパルタの陶器の存在も紹介した。スパルタ教育の一環として食料が不足した場合に盗むことも訓練とされていたというエピソードも紹介した

    • のぶた先生: 物々交換が行われていたと補足した

  • 結論

    • 授業では、穀物や陶器の流通、物々交換の可能性について意見が出た

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