歴史部(世界史)―大航海時代と世界商業の成立
重要なポイント
複数の曜日のメンバーが参加し、輪読形式で学習した
ヨーロッパの海洋進出とアメリカ大陸の変容を扱い、世界各地を結ぶ交易が拡大した意義を考えた
近代世界システム論、大西洋三角貿易、商業革命、価格革命を順に学習した
価格革命と西ヨーロッパの領主・農民の関係、東ヨーロッパにおける再版農奴制の形成を検討した
各参加者が輪読と質問に加わり、ラス・カサスに関する前回の疑問についても、初期の報告活動と特定の著作を区別して確認した
次回の世界史はイスラム世界の諸帝国、日本史は貴族政治と国風文化へ進む
議論されたトピック
授業の概要と参加者確認
うえまつ先生が本日の授業範囲を確認。木曜クラスに加え、月曜・水曜クラスからも複数の生徒が参加していることを確認した。
詳細
うえまつ先生:ヨーロッパの海洋進出とアメリカ大陸の変容を扱うことを説明した
うえまつ先生:参加者が順に該当箇所を音読することを案内した
結論
他曜日からの参加者も含め、輪読形式で授業を進めることを確認した
世界史的意義:世界の一体化の始まり
Aさんが該当箇所を音読し、ヨーロッパの海洋進出が世界各地の歴史の結びつきを強めたという教材の見方を紹介した。
詳細
Aさん:13世紀のモンゴル帝国による地域間の結びつきに触れたうえで、大航海時代以降は海洋を通じた継続的な交易関係が広がったことを読み上げた
うえまつ先生:各地域の歴史が恒常的に結びついたことを、教材が「世界史の成立」と捉えていると補足した
結論
大航海時代は、アメリカ大陸を含む世界規模の交易関係が拡大する重要な転機として学んだ
近代世界システム論(ウォーラーステイン)
Bさんが該当箇所を音読し、ウォーラーステインの近代世界システム論を紹介した。
詳細
Bさん:16世紀以降のヨーロッパを中心とする交易と分業の拡大、19世紀以降に工業化した「中核」と原料・農産物などの供給を担う「周辺」の関係を読み上げた。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、東ヨーロッパなどとの関係にも触れた
Bさん:この見方を「近代世界システム論」と呼び、ウォーラーステインが1970年代に提示したことを紹介した
うえまつ先生:人類の長い歴史ではヨーロッパだけが文明の中心だったわけではなく、アジアや北アフリカにも文明の中心があったことを補足した
結論
近代世界システム論を、地域ごとの歴史だけでは説明しきれない世界的な分業と格差を考える視点として学んだ
マルクス主義への批判
Cさんが該当箇所を音読し、ウォーラーステインによる単線的な発展段階論への批判を紹介した。
詳細
Cさん:「古代奴隷制→中世農奴制→近代資本主義→社会主義」という発展段階の図式を読み上げ、世界各地の歴史を同じ順序だけで捉えられるのかという問題を紹介した
Cさん:「発展途上国」「後進国」という表現についても、ヨーロッパとの歴史的な関係を考える必要があるという教材の見方を読み上げた。諸地域の現在の経済状態を、その地域内部だけの遅れとして説明できないという問題を紹介した
うえまつ先生:発展段階を示す図を用いて説明した
結論
授業では、単線的な発展段階論に対し、世界の諸地域を「中核」と「周辺」の関係から捉える視点を確認した
世界商業の成立と大西洋三角貿易
うえまつ先生が導入を読み、Dさんが大西洋三角貿易に関する箇所を音読した。
詳細
Dさん:ヨーロッパからアメリカ大陸へ衣類、アフリカへ武器や雑貨などが運ばれ、戦争捕虜などを売買する取引を経て、アフリカから連行された人々がアメリカ大陸で奴隷として使役された仕組みを読み上げた
Dさん:教材で挙げられた概数として、16世紀にはポルトガル・スペインによる輸送が約30万人、17世紀にはポルトガル約100万人、イギリス40万人以上、オランダ20万人以上、18世紀には全体で約650万人に達したことを紹介した。18世紀にはイギリスの輸送が約250万人と大きな比重を占めた
Dさん:アメリカ大陸では銀の採掘やサトウキビなどの栽培に強制労働が用いられ、生産物がヨーロッパへ運ばれたことを読み上げた
うえまつ先生:アフリカ側での捕虜の売買やヨーロッパ商人との取引にも触れた。関与した王国・首長・商人やその社会のあり方は地域によって異なる
結論
ヨーロッパ・アフリカ・アメリカ大陸を結ぶ交易と奴隷貿易は、近世を通じて拡大した
ヨーロッパとアジアの貿易関係
Eさんが該当箇所を音読し、アメリカ大陸の銀がアジアとの貿易に果たした役割を紹介した。
詳細
Eさん:新大陸の銀の一部はヨーロッパを経由してアジアに運ばれ、香辛料やインド産綿布と交換されたことを読み上げた
Eさん:メキシコの銀がアカプルコとマニラを結ぶ航路を経て中国へ流入し、中国産の絹や陶磁器などと交換されたことも紹介した
うえまつ先生:大航海時代以降の恒常的な広域交易が「世界史の成立」を考えるうえで重要だと強調した
結論
世界各地は継続的な交易関係によって結びつきを強めた
商業革命
Fさんが商業革命に関する箇所を音読した。
詳細
Fさん:商業革命について、①世界的規模の交易拡大、②ヨーロッパの商業の中心が地中海沿岸からリスボン、セビリア、アントワープなどの大西洋側へ移ったことを読み上げた
Fさん:北イタリアなど従来の商業中心地と大西洋沿岸の新たな拠点との相対的な位置づけの変化や、スペイン、フランドル、イギリスにおける織物生産についても紹介した
うえまつ先生:商業革命を②の商業中心地の移動に重点を置いて説明する教科書もあると補足した
結論
商業革命によって、ヨーロッパの交易の規模と商業の中心地に変化が生じた
価格革命
Gさんが価格革命に関する箇所を音読した。
詳細
Gさん:1545年に採掘が始まったポトシ銀山など、アメリカ大陸の銀の流入と、16世紀のヨーロッパにおける長期的な物価上昇の関係を読み上げた
結論
授業では、新大陸からの銀の流入を価格革命の重要な要因として学んだ
価格革命と封建制(農奴制)の崩壊
Hさんが価格革命と領主・農民の関係を音読した。
詳細
Hさん:農民の負担が定額の貨幣地代へ移っていた地域では、農産物の価格が上がっても支払額が据え置かれると、地代の実質価値が下がり、領主の収入が圧迫されるという仕組みを読み上げた
Hさん:その結果、農民と領主の経済的な関係が変化したことを紹介した
うえまつ先生:「封建制」という言葉に触れ、「封」の語源や支配権を与える仕組みについて説明した
結論
価格革命が領主と農民の関係に与えた影響を検討した。ただし、農奴制の変化や封建制の衰退は地域差があり、価格上昇だけでは説明できない
東ヨーロッパへの影響:再版農奴制と農場領主制
Iさん、Jさん、Kさんが東ヨーロッパへの影響を順に音読した。
詳細
Iさん:西ヨーロッパで商工業が発展し、エルベ川以東のドイツ、ポーランド、ハンガリーなどの地域が西ヨーロッパ向けの穀物供給を増やしたことを読み上げた
Jさん:東ヨーロッパの一部の領主が農民の移動を制限し、労働力を確保したこと、これを再版農奴制と呼ぶことを読み上げた。農場領主制(グーツヘルシャフト)についても紹介した
Kさん:農場領主制では、中世西ヨーロッパの古典荘園と同じく賦役労働が課された一方、自給だけでなく穀物などを市場で販売することが重要だった点を読み上げた
Aさん:東ヨーロッパでは貴族の支配が商工業者や都市の成長に影響したことに触れ、西ヨーロッパの商工業と東ヨーロッパの穀物生産・農奴制を比較した。論述問題でも重要な対比であることを紹介した
結論
授業では、西ヨーロッパと東ヨーロッパで異なる経済・社会の変化が進んだことを確認した
ラス・カサスに関する前回質問の調査報告
うえまつ先生が、のぶた先生の前回の質問について調査結果を報告した。
詳細
のぶた先生:前回、ラス・カサスを「ドミニコ会の修道士」として紹介する記述と報告の時期の関係に疑問を示していた
うえまつ先生:ラス・カサスはドミニコ会に入る前の1515〜16年にも先住民の被害を報告していたことを確認した。一方、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』の初期稿は入会後の1542年に成立したと説明した
のぶた先生:調査に感謝を述べた
結論
ラス・カサスの初期の報告活動と、1542年に成立した特定の著作を区別して考える必要がある
質疑応答:マルクス主義の図解における社会主義の位置づけ
Cさんが、なぜ社会主義が資本主義の後に置かれているのかと質問した。
詳細
Cさん:発展段階の図で社会主義が資本主義の後に位置する理由を尋ねた
うえまつ先生:マルクス主義の発展段階論では、資本主義から社会主義への移行が歴史の発展として想定されること、ウォーラーステインは単線的な見方を批判したことを説明した
のぶた先生:20世紀に用いられた「革新=社会主義、保守=資本主義」という政治的な文脈が現在では伝わりにくく、Cさんの疑問はその時代感覚の違いとも関わると補足した
結論
社会主義が後に位置するのは、図で紹介された発展段階論に基づく
質疑応答:南北問題とは何か
Dさんが「南北問題」の意味を質問した。
詳細
Dさん:教材に出てきた「南北問題」の意味を質問した
うえまつ先生:第二次世界大戦後に顕在化した先進工業国と開発途上国との経済格差、および関連する問題について説明した
結論
南北問題を、世界の地域間格差と歴史的な関係を考える論点として確認した
質疑応答:18世紀に奴隷貿易が最盛期を迎えた理由
Eさんが、なぜ18世紀に奴隷貿易が拡大したのかと質問した。
詳細
Eさん:18世紀に大西洋奴隷貿易が最盛期を迎えた理由を尋ねた
うえまつ先生:ヨーロッパで紅茶・コーヒーを飲む習慣が広がり砂糖の需要が増えたこと、カリブ海地域のサトウキビプランテーションが拡大したことを挙げた。さらに1713年のユトレヒト条約により、イギリスがスペイン領アメリカへの奴隷供給契約権(アシエント)を得たことに触れた
うえまつ先生:奴隷貿易から得られる利益が参入の動機となったことにも触れた
のぶた先生:アメリカ大陸の先住民人口の大幅な減少と、植民地での労働力需要が、アフリカからの強制連行につながった背景に触れた
結論
砂糖などのプランテーションの拡大と奴隷労働への需要、スペイン領アメリカへの供給契約権など、複数の条件を挙げて検討した
次回授業の確認
のぶた先生・うえまつ先生が次回の授業内容を案内した。
詳細
うえまつ先生:次回の世界史では14〜18世紀のイスラム世界の諸帝国を扱うと案内した
のぶた先生:次回の日本史では教材の新しいプリントに切り替え、貴族政治と国風文化を扱うと案内した。該当するプリントを確認するよう注意を促した
結論
世界史:イスラム世界の諸帝国へ進む
日本史:貴族政治と国風文化へ進む



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