イギリス産業革命の紡績機について
質問①「ミュール紡績機は“細い糸を紡げるようになった”とあるが、具体的にどれぐらい細い?」
質問②「イギリスにおいて、多軸紡績機・水力紡績機・ミュール紡績機の普及率はどれぐらいだった?」
(質問の前提となる歴史的知識については、青木先生の『実況中継第3巻』13~14ページを参照)
●質問①「ミュール紡績機は“細い糸を紡げるようになった”とあるが、具体的にどれぐらい細い?」
まず、紡績機の糸の太さ・細さの数値は小さすぎるので、一般的に何mmではあらわさず、「番手」と呼ばれる単位が使用されます。
この説明については、以下を参照してください。
「番手とは糸の太さを表す単位で、綿糸については英式、仏式、共通式などがあるが、本論文で示す番手はすべて英式であるのでこれのみ説明する。英式は1 重量ポンドの綿糸の長さ=840 ヤード×X と定められ、X がその番手数である。例えば、1 重量ポンドの糸の長さが16800(=840×20)ヤードの場合、その糸の番手数は20 となる。なお、番手数が大きいほどその糸は細いということになる。また、一般には糸が細いほど高級とされ価格は高くなる。」(春誠治「博士論文 イギリス綿業の技術選択」p8〔注17〕)
https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/7247/files/Honbun-6126_00.pdf
そのうえで、ネット情報になりますが、多軸紡績機(ジェニー紡績機)の糸の太さを基準にし、(オマケで)水力紡績機とも合わせて比較すると、以下のようになります。
水力紡績機は、多軸紡績機の糸に対し約2~3倍太い
ミュール紡績機は、多軸紡績機の糸に対し約1/2~1/3の太さ(=約2~3倍細い)
なお、実際には、糸の素材や撚り、不均質な作り具合などによって、単純な比較は困難です(なので、一般的には「番手」を使用する)。
そこで、3つの紡績機の糸は「番手」で言うと、以下のとおり。
ジェニー紡績機 40~60番手
水力紡績機 20~30番手
ミュール紡績機 80~100番手
●質問②「イギリスにおいて、多軸紡績機(ジェニー紡績機)・水力紡績機・ミュール紡績機の普及率はどれぐらいだった?」
この質問に対しては、参考論文の堀江英一「イギリス紡績業における機械体系の確立過程」(『経済論叢』99-1、59ページ)に完全に依拠して回答します。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/handle/2433/133172
多軸紡績機……【1787年】1,605,000(82%)➡【1789年】1405,000(58%)➡【1811年】155,800(3%)
水力紡績機……【1787年】310,000(16%)➡【1789年】310,000(13%)➡【1811年】310,000(7%)
ミュール紡績機……【1787年】49,500(2%)➡【1789年】700,000(29%)➡【1811年】4209,570(90%)

ありがとうございます!
番手が大きいほど細いというのは、なんか語感と逆ですねえ。
最後のミュール紡績機の追い上げがすごい!
日本でミュール紡績機を導入した大阪紡績会社ができるのが1882年なので、日本は100年遅れていたんですねえ。