カデシュ条約の内容について
2024年4月11日(水)世界史での質問「カデシュ条約(青木先生『実況中継①』22ページ)の内容は?」
少し長いですが、カデシュ条約の一部の日本語訳を引用します。(一部変更している箇所があります)
「 アメン(テーベの守護神)に愛されし者、大王、〔エジプト国〕の王であるラメセス〔2世〕が、大王、ヒッタイト国の王、彼の兄弟であるハットゥシリ〔3世〕と、両者の間に永遠に大いなる平和と大いなる友好を確立するために銀製の書板において締結した条約(中略)
今、私(エジプト王ラメセス2世)はエジプトとヒッタイトの間に永遠に真の友好と真の平和を築いた。大王たるエジプト国の王と大王たるヒッタイト国の王の関係に〔に関する限り〕、これから永遠に条約に基づいて、神が両者の間の反目を許しはしない。アメンに愛されし者、大王、エジプト国の王であるラメセスは、これから永遠に両者の間で反目し合うことがないように、太陽神と嵐神が当初の関係〔のとおり〕にエジプト国とヒッタイト国のために確立してくれた関係を築くために〔これを〕執り行う。
アメンに愛されし者、大王、エジプト国の王であるラメセスは、大王、ヒッタイト国の王、彼の兄弟であるハットゥシリと、我々の間に永遠に真の平和〔と〕真の友好を築くために、この〔日〕に銀製の書板による条約の締結に至った。私にとって彼は兄弟であり、〔私とは仲が良い〕。彼にとって私は兄弟であり、彼とは永遠に仲が良い。〔そして〕我々が我々の間の友好と平和を確立すると、かつてのエジプト国とヒッタイト国の間の友好と平和よりも〔さらに〕良い〔ものとなろう〕。」
(歴史学研究会編『世界史史料1―古代のオリエントと地中海世界―』岩波書店、96~97ページ)
全文の訳ではないですが、講和を結んだエジプト王とヒッタイト王が「兄弟」と表現しているのが興味深いですね。中国史でも、中国王朝の皇帝が異民族国家(とくに戦争が強い国)の君主と手を結ぶ際に、兄弟など家族関係になぞらえる例がありますので、最古の国際条約といわれるカデシュ条約との共通点として指摘できます。
なお、引用した文章の次の部分には、両国王の息子同志の友好関係も誓われており、この条約が次世代にも引き継がれることが願われています。

「太陽神と嵐神」の「嵐神」って、文脈的にエジプト側の神様ですよねえ。ヒッタイト側ではないですよねえ。セト神ですかね。