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【環境保護の歴史】SDGsはいつから言われてる?【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0053 】

更新日:4月16日



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


動画版:「【環境保護の歴史】SDGsはいつから言われてる?」

中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして世界史のカリスマ講師、河合塾の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

今回は環境問題ということですね。


青木:

人間の居住環境が悪化するという話は昔の時代からあるんですよ。人間が都市を作って、人が集まって住むことによって水まわりが悪くなったり。そういうことじゃなくて、今日取り上げるのは地球的規模の環境破壊。これがいつくらいから話題になってきたかという話なんですけども。


中島:

結局壊してますからね。


青木:

そのことに人間がいつ頃から気づき始めたかと。1962年ですからちょうど60年ぐらい前に



この本が出て世界的なセンセーションを巻き起こすと。


中島:

海洋学者なんですよね、レイチェル・カーソンという。


青木:

女性の海洋学者でエッセイストで。


中島:

海の環境を見ていて「これは」という。


青木:

最初に気がついたのはDDTらしい、農薬。一節あるのでご紹介しますと、まえがきの一節なんですけど、「アメリカでは春が来ても自然は黙りこくっている。そんな街や村はいっぱいある。一体なぜなのか。そのわけを知りたいと思う者は先を読まれよ」と。DDTみたいなものに代表される農薬でもって、害虫を殺すための薬なんだけども、それがいろんな他の虫たちも殺してしまう。たとえばモンシロチョウの幼虫を殺してしまったりして蝶が飛ばないと。さらにはその幼虫を食べている鳥たちも鳴かなくなる。こうしてサイレントなスプリン

グを迎えることになるよと。


中島:

結局春というのは冬いろいろ活動しなかったものが、季節が変わってニョキニョキ出てきたりとか、活動しだすということでの春なのに、それが沈黙しているよというタイトルなんですよね。


青木:

それを非常な名文でもって発表したんですよね。これに応えたわけじゃないんだけどもそれから10年後、国際連合が初めて動くわけですよ。1972年に国連人間環境会議、UNCHEと略称で言うんですけど、これが開催されるわけです。開催された場所がスウェーデンの首都ストックホルム。当時ヨーロッパ、特に北ヨーロッパのほうでなにが問題になっていたかというと、森林がどんどん立ち枯れていくわけです。原因はなにかといったら排気ガス。排気ガスを原因とする酸性雨ですね。


中島:

それは車ってことですか?車だったり、工場だったり。


青木:

当時はほとんど排ガスの規制とかがないので、酸性雨、それが気流の関係なんかから、フィンランドとかスウェーデンとかノルウェーとか、あのへんに雲を作って。


中島:

もともと森があるところですよね。


青木:

そうなんです、それがどんどん立ち枯れていく。というので、スウェーデン政府が音頭をとって国連に呼びかけて、「じゃあ会議をやりましょう」と。ストックホルム宣言というのが出るわけですね。環境保護のために頑張っていかないかんと。あんまり具体的なことが決まっていないんです。ただやばい状況に来ているのは間違いないよねと。それを世界中の人たちに伝えるために有名なスローガンが採択されたわけ。これがオンリーワンアース。直訳すれば「たったひとつの地球」なんですけども、これをこの会議に参加した日本の若い外交官が「かけがえのない地球」と訳したんです。



中島:

すばらしいですよね。


青木:

すばらしい訳ですよね。


中島:

実際に意味合い的にはそうなんですよね。かけがえのない地球を我々がどう守っていくか。


青木:

それを残念ながら壊しつつあるよと。これが確認されると早いのはヨーロッパなんです。特に西ドイツで緑の党という環境保護だけを目的とするいわゆるワンイシュー政党、そういう政党ができて活動を始めると。80年代に入って当時一番問題になっていたのがフロンガスなんです。


中島:

これがオゾン層というのを破壊するという、こんなことも知らなかったですもんね。冷凍庫ですか?みたいなのに使われているガスが。


青木:

昔の冷蔵庫に普通に使われていたんです。フロンガスの気化熱を使って冷やしていたんです。


中島:

ということなんですよ。


青木:

冷蔵庫が古くなるとスクラップされるんです。うしろにあるフロンガスの缶がポンと破られてプシューっと出てくる。それが重力の関係で北極と南極に集まって、地球を守っているオゾン、化学式でO3ですけど、これに穴を開けてしまう。紫外線が大量に降り注いできて、動物や人間が皮膚癌のリスクが高まっていく。いろんな関係で、たとえば南半球のニュージーランドとかオーストラリアとか、日本に比べるとはるかに紫外線が強いらしいんです。私の知り合いでオーストラリアに留学したやつがいて、80年代に高校生だったのかな。その人が言っていたけども、オーストラリアでは特に小学校、体育の授業を屋外でやらないというんです。


中島:

本当に日に焼けるということが全然違うものなんですよ。もともとはヨーロッパのほうなんて北のほうはものすごく太陽をありがたがって、浴びていたというものが、実はオゾン層というものを通しての太陽のエネルギーをもらっていたのが、それがなくなってしまうと大変な人間にダメージを与えるということですね。


青木:

ただ気づいて、それに対する対応は早かったんです。1985年にウィーン条約。それから87年にカナダでモントリオール議定書というのが採択されて、原則フロンガスを禁止にしようと、これはみんな守ったんです。オゾン層の破壊がそれ以上進行することが一応ストップされた。

そして1992年、ブラジルのリオデジャネイロでまたしても国際連合が国際的な会議を開いたわけですね。これが国連環境開発会議、United Nations Conference on Environment and Development。国連環境開発会議、通称地球サミット。ここで採択されたスローガンという

のがSustainable Developmentということになるわけですね。いわゆる持続可能な開発


中島:

今でこそSDGsとかサスティナブルとか言いますけれども、そのときに言われているにもかかわらず、これだけ一般的になるのにものすごい時間がかかってるんですよね。


青木:

やっとですよね。


中島:

ここ2、3年でしょ、SDGsとかサスティナブルという言葉を。しかもそれは環境だけじゃなくてビジネスとか、そっちのことでやっと広まったという感じ。


青木:

差別の問題とかね。92年のリオデジャネイロの地球サミットのときのSustainable Developmentはなにかというと、はっきり言って人類って火を意識して使い始めたときから環境破壊を実は始めているんです。


中島:

これはしょうがないことなんですけどね。


青木:

そうなんです、しょうがないんですよ。環境保護グループ中には急進的な人たちもいて、一切しないと。どうするかといったら


中島:

原始の世界に戻るしかないんです。これはどこで折り合いをつけるかというところの、ぶっちゃけそこなんですよね。


青木:

そう。折り合いをつけるとおっしゃったでしょ、まさしくその通り。言葉を変えて言うとどこまでだったら大丈夫なのか


中島:

持続可能で我々が地球に対して良いこともやりながら、やっぱり便利な生活のために破壊もしながら、ちゃんと持続可能かということなんですよね。


青木:

結局そこなんです。折り合えるポイントはどのへんなのかといったら、当時はまだわかっていないんです。というので、これまでいろいろ環境保護のために活動していたNGOがこの会議に大量に参加したんです。教科書に書いてあるんですよ、「非政府組織がたくさん参加した」と。生徒が言う「なぜですか?」と。「決まってるだろ、政府は経済のほうを優先するから、経済の発展と環境保護を天秤にかけた場合、どうしても経済発展のほうに重きを置いてしまう」それじゃダメですよという活動をNGO、非政府組織がやってきたので、そういった人たちの声もしっかり耳を傾けましょうと。そういう点でもこの会議は非常に画期的だったんです。いろんな環境保護活動やっている人たちがたとえばブラジルの森林が危ないよと。あるいは干潟。海岸の浅瀬が危ないよと。あるいは一番多くの注目を集めたのが地球温暖化が進行しているよというので、それぞれの問題に関して、これから専門の会議を開いていきましょうと。これをConference Of the Partiesといって、いわゆるCOPなんとかというんです。現在までに地球温暖化防止に関しては20何回か開かれている。それがいろいろ開かれて、たとえばラムサール条約みたいな干潟を守ろうとか、


そういう条約が結ばれたり。


中島:

福岡でいうと網代干潟もあるし、有明海の環境なんかもありますからね。


青木:

干潟というのがある意味生態系破壊のひとつのシンボリックな存在なんですよね。


中島:

干潟って僕は有明海の人間なので本当に思うんですけど、ものすごいいろんなありとあらゆるものがいっぱい共存して、しかも水が引いていくとそれが目に見えてわかるという。鳥がいなくなる、鳥がいなくなるということはそこに住んでいる海洋生物がいなくなっているというところからいろんな話につながっていくんですよね。


青木:

漁民のかたに話を聞いたんですけど、豊かな海というのは濁ってるんだよとおっしゃったんです。ギリシャの海の透き通ってること。めっちゃ貧しいですもんね、あそこの。


中島:

結局透き通っているというのは生きているものがいないんですよね。


青木:

生物がいないんですよ。


中島:

生活するということは濁る。ということは環境もちょっと近いものはありますけれどね。そういう話なんですけれども、環境問題はもう時間がきちゃったので次回に続きます。たぶん次で。


青木:

そうですね。今地球温暖化というのは一番大きな問題なので、それがどう展開したか、それについてお話しましょう。








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