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アメリカって・・・国の集まり【青木裕司と中島浩二の世界史ch:8】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。

(前回の記事「バイデンだったね〜」はこちら


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木裕司先生です。よろしくお願いします。

バイデンさんが次の大統領ということになりまして、選挙システム、政治のシステムを見ていかないとちょっとわかりにくいところがあるかなというふうないことで、改めて日本の議院内閣制とアメリカの大統領制は根本的に違うんだよというところから今回話をしていこうかなと。


青木:

まず日本のほうから行きましょうか。

主権者である国民がいて、衆議院、参議院、国会議員を選びだすと。

中島:

国民が選挙して議会の人たち、衆議院の代議士先生、それから参議院の人たちを選ぶ。


青木:

議会はなにをするところかというと法律を作るところですね。


中島:

立法府ですね。


青木:

その議会国会で多数を占めた政党を中心にして国を動かす組織、すなわち内閣行政府が構成されるわけですね。


中島:

つまり今で言うと自民党の総裁がそのまんま内閣総理大臣になって、大臣たちを選んでいくということで、ここが内閣ということですけども、ここは行政府ということになりますね。


青木:

そうですね、国を運営する組織ですね。さっき中島さんおっしゃいましたけども、議会の多数派か中心になって内閣を組織する、これを議院内閣制と言うんですね。国会でたとえば自民党が少数で内閣は自民党の政府、これはありえないんですね。

それに対してはいアメリカはどうかというと、国民が議会、上院議員、下院議員を選びだすわけですね。ところが行政府のトップである大統領も今回の選挙のように直接選挙でもって選びだすわけですね。だから議会は共和党が多数だけども大統領は民主党なんてことがよくあるんですよね。

中島:

これってどうなんですか?選挙人という人たちがいるじゃないですか。結局50%取ったら選挙人が全員総取りということになりますよね。あれってどういうシステムなんですか?


青木:

あれは200年ぐらい前にできたシステムなんですけども、アメリカができて建国されて間もないころですよね。人口も300万人いるかいないか。ほとんど読み書きができない。しかも通信システムも発達していない。というときに広大なアメリカ全土で選挙をやるってなかなか難しいんですよね。だからどうしたかというと、州単位でそれなりに有力者、読み書きができる有力者に選んでいただこうと。間接選挙だったんです


中島:

そのときは国民は投票してなくて、その代表の人たちだけが投票していたと。


青木:

そこに国民も選挙をやるべきじゃないかなということになって、選挙人と合体した今のシステムができあがったんです。


中島:

これがまた総取りですからね。票に対してのパーセンテージとかだったらなんとなく直接選んでるなという気はするような気がするんですけど。


青木:

そこは僕もちょっと疑問なんですけども、でもアメリカはその制度を変えない。なぜかというとアメリカはあくまでもunited statesであると、州の連合体であると。


中島:

statesというのは国なんですね。


青木:

国ですね。都道府県とは違います。非常に自立性が高い。これは僕、世界史の授業もよく言うんだけど、アメリカって国家の連合体だよと。



中島:

なるほど。だって法律だって州によって法律が全然違ってて、昔は州の中で全部完結していたから州をまたぐ犯罪とかがどんどん増えてきたと同時にFBIという組織ができるんですよね。



青木:

そうですね。100年ほど前ですけどね。ちょうどモータリゼーションが発達して。


中島:

車でいろんなところを。


青木:

州の境の銀行をギャング団が襲撃して、そのまま州の境を超えてしまうと。


中島:

いわゆるボニー&グライド。



青木:

そうそう。すると州の警察はまたいで追っていけないんですよ。


中島:

カリフォルニア州で犯罪を犯して隣の州に逃げ込んだら、もう逮捕できないということなんですね。


青木:

できない。それじゃいかんというのでFBIができるんですけどね。


中島:

ということなんですよ。だから州をまたいだ犯罪がどんどん増えてくることによってFBIという組織もどんどん力をつけていったという、話が横に逸れちゃった。ごめんなさい。


青木:

アメリカというのを見るときは国の連合体であるという認識を持っていたほうが良いと思うんですよ。ちなみ言うと上院下院、日本にも議会が2つありますよね、衆議院、参議院。下院は日本の衆議院とだいたい一緒で、人口に比例して議席を割り振られていると。3000万人人口がいるカリフォルニアだったら50数人、下院議員を選ぶ。人口が少ないワイオミングだったら1人とかね。



中島:

つまり1票の格差をなくさないように、ちゃんとこれぐらいの人数の代表だったらこれぐらいの人数だよということがあるわけですね。


青木:

これに対して上院、これは州の代表。ここが日本の参議院と大きく違うところで、日本の参議院で都道府県の代表者じゃないですよね。アメリカ上院というのは各州、states、国の代表なんですよ。だからさっき言ったように人口3000万人以上いるカリフォルニアも上院議員の割り振りは2名。ワイオミングみたいに人口58万人、鳥取県より少ないですよね。それでも2名なんです。



中島:

2議席ですか。しかも上院と下院では、実は日本の衆議院と参議院とまったく違うところは話し合う内容が違うんですよね。決める内容が違う。


青木:

決定的に違うのは、たとえば外交に関しては上院にしか発言権はないですね。国と国との約束を条約と言いますけども、その条約をアメリカ大統領や国務長官が結んでくる。それに対して承認、批准と言いますけれども、批准ができるのは上院だけなんです。外交に関しては上院に決定権がある。予算に関しては下院のほうで先に議論をする権利がある


中島:

だから全然日本の衆議院参議院と違うということですね。


青木:

機能が分担されていますよね。


中島:

これねじれてしまうと大変だということで、今まだ上院が今日、11月の中旬ですけれども、上院のまだ議席数が確定してないんですよね、民主党と共和党と。


青木:

現時点では民主党が48で共和党が50。ジョージア州の2議席がたぶん決選投票になるんですね。たぶん1勝1敗で結果的には民主党49、共和党51になるんじゃないかなというふうに思っているんですけど。


中島:

民主党49と共和党51だったら、いわゆるねじれというふうなことになりますよね。バイデンさんは民主党で共和党が多いということになりますから。


青木:

はっきり言っちゃうと、そのあたりを見越してバイデンさんが大統領候補になったんじゃないかなと思ったんですよ。



中島:

そのあたりを見越してってどういうことですか?


青木:

バイデンさんって40年以上、上院議員の経験があるんですね。上院議員って50州2人ずつなので100人しかいないんです。結構みんな知り合いなんですよね。人間的な関係性というのが非常に強くて、バイデンさんってライバルである共和党の議員たちからも信頼されているんです。ときどきありますよ、共和党と民主党が共同で法案を提案するとかいうのはね。


中島:

じゃあねじれるけれども、その人間関係で。



青木:

バイデンさんだったら上院の共和党の連中がある程度はコントロールできるんじゃないかなと。


中島:

ということは3票4票ぐらい共和党の人が民主党の政策に賛成すれば、ねじれてはいるけれども、そのまんま法案が通っていくというところになりそうですか?


青木:

それはありえますね。4年前にトランプ政権ができちゃったときに、トランプさんがオバマケア、国民皆保険制度みたいな制度、オバマさんの遺産ですよね。これを葬り去ろうとしたときに上院で議論になったとき、ジョン・マケインさんという共和党の議員さんが造反したんですよね。オバマケアを葬り去ることはまかりならんと。

そんなことはよくあるんです。日本だったらありえないので、日本の国会議員には党議拘束というのがあって、自民党の執行部がこれだと決めたものについて一般の自民党の議員さんたちが「俺は嫌だ」と言えないんです。ところがアメリカの民主党も共和党も党議拘束はありません

ついでに言うと自民党だったら総裁、トップね。幹事長とかああいう役職がありますよね。共和党も民主党もないです。


中島:

自分たちは選ばれて、党はあるけれども、一匹狼に近い?


青木:

そうです、基本。自分を選んでくれた人たちの代表であると。


中島:

民主主義ですよね。選んでくれた人たちの言葉を代弁するということですよね。


青木:

民主党共和党の一員である前に選んでくれた人間の代表であるという発想なんです。その人たちにとってどうなのかというのは彼が考えるんですよね。そこはすばらしいです。そう思います。


中島:

ちゃんと議会というのが機能していて、きちんと民主主義が行われているということですね。


青木:

さっきねじれということをおっしゃったじゃないですか。よくあるんですよ。


中島:

ねじれることがですね。


青木:

1期から2期目に変わるときにね。


中島:

そうなんですよ、1期目から2期目に変わるときに「大統領なんだよ」というふうに思って、それで上院の票数が変わっちゃうんですよね。


青木:

そうそう、国民の判断ですよね。大統領が民主党なら議会は共和党に入れておくか、それでお互いにチェック、バランスを取ろうと。三権分立の理念とよく言いますよね。あれも最初に導入したのは実はアメリカなんですよ。というか文章の憲法を作ったのはアメリカが最初ですからね、世界で。イギリスのことをよく立憲体制の国と言いますけど、イギリスは現在に至るまで文章になった憲法は存在しませんからね。


中島:

それ世界史で習いましたよね、不文律という。


青木:

そうそう。イギリスは立憲体制と言うけども、イギリス国憲法というのは存在しない。歴史的に採択された重要な文書、そういったものや、あるいは裁判所が下した重要な判例を総合して国のあるべきルールというものを形作っていくと。


中島:

この法律と憲法の違いって大きくあるじゃないですか。法律というのは我々国民が守るべきもので、憲法というのは国をどういうふうにしていくかというもので。


青木:

そうですね。国柄を決定する基本的な法律。プラス権力者をどうやって縛るかね。


中島:

そうなんですよ。だから権力者が権力を持つことによってかなり好き勝手にできるということを縛るということが憲法。


青木:

アメリカはさっき言ったように三権分立の理念を最初に導入したけども、なんでかというと、再々言っているけどアメリカって州の連合体じゃないですか。一方で中央政府を作ると。中央政府の力が強すぎると州の権利、あるいは個人的人権、こういったものが不当に侵害されるんじゃないかという懸念をみんな200何十年か前にみんな思ったんですね。というのでどうしようかと迷っていたときにフランス人のモンテスキューという思想家がいて、三権分立ってなんかあったよねって、それをアメリカの憲法に導入しようと。で、持ってきたわけです。日本も三権分立と言いますよね。司法、行政、立法がお互いにチェックアンドバランスを。アメリカもそうなんだけど、アメリカはより徹底してます。有名な話、たとえば今度カマラハリスさん、バイデンさん。お2人とも上院議員ですよね。日本だったら山口県選出の国会議員である安倍晋三さんが内閣総理大臣を兼ねることができますよね。でもアメリカはできません


中島:

ということはやめなきゃいけない?


青木:

やめなくちゃいけないんです。


中島:

なるほど。立法府で発言とか投票権をなくすんですね。行政府に入るから立法府の1票というのを剥奪するんですね。


青木:

そうです、なくなる。なぜかというと、それは三権分立だからだよって。


中島:

なるほど。でも日本の議員内閣制はイギリスから持ってきたものですけど、じゃあイギリスはどうなっているんですか?


青木:

イギリスは日本と一緒です。


中島:

じゃあ日本と同じようなシステムで回っているってことですか。憲法も文章化されていなくて、それでちゃんと動いているんですか?


青木:

動いていますね。


中島:

イギリスのことがすごく気になりますよ。しかもイギリスはまたおもしろくて、議員内閣制のそれこそお手本みたいな国でしょ。保守党があって、労働党があってという二大政党制で、日本も二大政党制にならなきゃいけないということでの、選挙で変わりやすいように小選挙区制みたいなことにしたんですけれども、なかなかそれが今の段階ではうまくいっていない。


青木:

イギリスやアメリカにはなかなかほど遠いですね、日本の状況はね。


中島:

政治システムとしてまだ成熟してないですか。


青木:

そんな感じがしますね。


中島:

でもこれ時間だけじゃないんですかね。白熱しました。

選挙のシステムのことについては、ものすごくわかりやすかったですけれども、またどこかでイギリスの議院内閣制とか、先生が思うここの選挙システムは一番うまくいっているなみたいな。


青木:

うわ、難しいな。


中島:

システムになるとそのシステムを利用してみんな国を動かそうというふうにしていきますから、やっぱりストロングポイントがあったら絶対にこの三次元の世界ではウィークポイントというのが絶対出てくるんでしょうけれどもね。話がちょっと、わかりましたか、選挙システム。日本とアメリカ、こんなふうに違うということです。








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