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【ロシア近現代史⑥】キューバ危機そして崩壊【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0036】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

ロシア、ソ連、ロシア、見ております。なかなか時代的に、また我々が知らない経済システム社会システムのところですから、ちょっと時間がかかるんですよ。スターリンが亡くなったというところからトロイカという体制になってというところですよね。



青木:

国際的にはソ連、アメリカなんかとも関係改善というのを始めていくわけです。雪解けですね。このあたりから中国とソ連の関係が悪くなり始めていくんです。特に決定的だったのはスターリンが亡くなった3年後に共産党のリーダー、新しいリーダーになったフルシチョフという人がスターリン批判というのをやるんです。スターリンが亡くなって3年目です。「あのスターリンはとんでもない悪い独裁者だった」と死後3年目にして初めて公言する。そしてソ連の方針として高らかにアメリカなんかと平和共存をやっていくと。仲良くやれるところはやっていくんだと。ぶっちゃけ対立だけで疲れちゃったと。


中島:

3年経ってスターリン批判を始めるというところで、言ってもスターリンとずっと一緒に国づくりをやってきたフルシチョフがそんなことを言うというので、えーって。


青木:

世界中がびっくりですよね。


中島:

ということになるんですよ。「スターリンってこんな人だったんだよ」「えー」って。国および世界中がびっくりするんですよね。


青木:

さっき言ったようにこれがきっかけになってソ連と中国の関係が悪くなる。


中島:

中国と悪くなっていくというのは、中国はアメリカと仲良くしてほしくないということですよね。


青木:

そうですね、端的に言えばそうです。国際関係を図解してみました。



中国に言わせると、ソ連、あんたが仲良くしようと思っているアメリカ、西ヨーロッパ、平和共存、ハートマークをつけていますけど。その仲良くしようと思っているアメリカ、西ヨーロッパって現在においてもアジア、アフリカを支配している。あるいは経済的に支配下に置いている。それに対してアジア、アフリカの人たちは独立戦争をやったり、あるいは支配から逃れるために自立の道を歩もうとしている。戦っているんだと。アジア、アフリカが戦っているやつらと仲良くするあんたはなんなんだと。


中島:

ということですよね。いわゆるアジアの盟主みたいな気持ちではあるわけですよね。


青木:

はい。アメリカや西ヨーロッパと戦っているアジア、アフリカと仲良くするソ連は明らかに彼らに対して裏切りを働いていると。まあその通りですよね。それでちょっと関係が悪くなる。さらに言うと、さっきスターリン批判と言いましたよね。本質はなにかというと、個人独裁ってダメだよねという話なんです。これに毛沢東がカチンとくるわけ。


中島:

「俺のこと?」という。


青木:

そうそう。ソ連におけるスターリン批判、これは中国における俺様に対する、毛沢東に対する批判を引き起こしかねないと。毛沢東個人でいうとスターリン批判に「なんだそれ」と。


中島:

ということなんですね。


青木:

このあたりから悪くなっていく。


中島:

もともと国境も接している国同士というのはなかなかうまくはできないですよね。


青木:

中国は中国で永らくアジアの中心としてやってきたじゃないですか。ソ連の後塵を拝するというのは気分的にもあんまり良くないとは思うんです。


中島:

気分的に良くないみたいなことも実は意外と重要なポイントだったりするわけですよね。


青木:

特に独裁国家はそうですよ。前も言ったけど日本だったら、たとえば菅総理、安倍首相、思い通りに必ずしも動かない、議会制民主主義って。でも個人独裁の国ってそいつがどういう人間かで決まりますからね。


中島:

これがやっぱり大変なんですよね、政治システムとして。


青木:

それで1950年代、どんなふうになっていくんですか?


中島:

ソ連と中国の関係は悪くなっていく。一方でソ連はソ連で、ソ連も中国もアメリカとは関係が悪かったんですね。いわゆる冷戦というやつですよね。


中島:

東西冷戦ですね。


青木:

ところがソ連とアメリカの関係を根本的に変える事態が1962年に起こるわけです。なにかというとキューバ危機


中島:

これは一度ちらっと出てきましたけれども。


青木:

キューバにカストロを中心とする社会主義の政権ができて、それをアメリカが敵視すると。


中島:

敵視するというか自分たちの言いなりに南アメリカがならなかったら大変だと。


青木:

そう。フロリダの200キロぐらい先にキューバってあるわけです。そこに自分たちと相容れない国ができつつある。アメリカはそれを敵視していろんな内政干渉をやるわけです。それに対してキューバのカストロ政権がソ連に助けを求め、ソ連が「アメリカに干渉されないためには核ミサイルの基地を作ったほうが良いんじゃない?」「じゃあ作ってください」というので、キューバにたくさん核ミサイル基地ができる。これはアメリカが許さない。これ以上キューバに核ミサイル基地を作るんだったらば、核ミサイル基地を作るためにやってくるソ連の船を撃沈するよと。こうしてアメリカとソ連が直接対立することになる。


中島:

でも本当に何度も何度も言いますけれども、ここで本当に核戦争が起きそうになったという。当時アメリカはケネディです。でもなんとかそれを回避した。


青木:

このあとに米ソ関係はいわゆる緊張緩和、フランスでデタントと言いますけどね、これが展開していくわけです。



それも中国は許せないわけですよ。さっきも言ったようにアジア、アフリカを支配しているアメリカや西ヨーロッパと仲良くやってんじゃねえよと。だんだん中ソ関係が悪くなっていって、1969年には国境紛争まで起きる。こうしてソ連はアメリカとは関係改善してきたけども、中国との関係がむちゃくちゃ悪くなっていって苦しむようになるわけですね。


中島:

それでソ連が崩壊するというのはどういう道筋なんですか?


青木:

基本的には国民経済を無視して軍需産業ばっかりやらざるをえなかったというソ連の歴史がありますよね。それがだんだん1980年代になって限界に達してきたと。特に衛星放送なんかも行われるようになって、西側の情報、資本主義国の情報というのがソ連、そして東ヨーロッパにどんどん入ってくるようになるわけです。明らかに西ヨーロッパやアメリカや日本のほうが我々ソ連よりも東ヨーロッパよりも豊かだと。我々も豊かになりたい。豊かになりたいという願望にソビエト連邦の社会主義共産主義の経済システムが対応できないんです。なんでかって、経験がないからです。


中島:

どうすればあんなふうになるかというのがわからないわけですよね。


青木:

ぶっちゃけ国民の皆さんが喜ぶようなものを作ってきた経験ってないわけですよ。消費者の皆さんが喜ぶようなものを作ってきた経験がないから、車、とりあえず走れば良いじゃんって。服、とりあえず着れれば良いじゃん、着心地関係ないよ、乗り心地関係ないよと、それでやってきたでしょ。


中島:

いわゆる競争がないですもんね。車といって「車こんなのをうち作ったよ」「うちはこんなの」「どれが良いかな」「そっちが売れたらじゃあこっちはもっとすごいのを作ろう」という競争がありながらということですもんね。


青木:

そういう国民の豊かになりたい、良い服を着たい、良い車に乗りたいという欲望にソ連も東ヨーロッパの社会主義共産主義国も対応できなくなった。これが僕は根本原因だと思います。そしてもうひとつは80年後半にソ連にゴルバチョフが登場して、いわゆる西側の国々との関係改善を図っているでしょ。結局1989年に冷戦の終結が宣言されるわけですね。



これまでも米ソ関係、何度か雪解けの時期があったり、デタントの時期があって、また対立したり。でももう冷戦の時代は終わったと。資本主義の国と社会主義の国が戦う理由はなくなったというようなことを宣言するわけです。するとソ連の国民がなんと思ったか。戦争がないんだったら軍需産業を発展させなくて良いよねって。「これからは国民を豊かにする政策をやってくれよ、その能力はあんたらないんだろ、じゃあやめちまいな」になるわけです。ちょっと端折って言ったけども根本はそこなんです。

これは中国のときにも申し上げましたけども、こういうふうにしてソ連共産党、そしてソビエト連邦というのがあっけなく崩壊していくのを隣国の中国の最高指導者鄧小平が見ていて、心底震えあがるわけです。


中島:

これはまずいと。


青木:

国民の欲望に応えられなかったら中国共産党も危ないぞと。社会主義市場経済というのを高らかに宣言する。


中島:

言ってもやっぱり住んでいる人が主役なんですね。


青木:

そうですね。結局国民にそっぽを向かれたら終わりだってことですよ。ソビエト連邦ももともと共産党に指導されたソビエトが運営する国家の寄せ集めだったんだけども、共産党そのものがもう解散しちゃうので、国々をまとめていたタガが崩れちゃうんですね。で、バラバラになっちゃう。


中島:

そういうことですか。それはよく象徴的に東ドイツと西ドイツの壁が、ベルリンの壁が崩されるところがわりと象徴的に使われますけれども、あの89年くらいのものなんですか?


青木:

それから2年後ですね。ベルリンの壁が崩されて、東西の交流がより活発化していくと。さっきも言ったようにその年、89年の12月に冷戦の終結が宣言されて、東と西の国々、資本主義と社会主義の国々が戦争する可能性がなくなったとみんな思ったんですね。ならば共産党の独裁も、軍事産業のテコ入れなんかも必要ないからということになっていく。


中島:

ということなんですね。今のロシアの政治体制ってどういう?


青木:

一言で言うのは難しいですけどね。議会制民主主義といえば民主主義ですね。少なくともかつてのソビエト連邦みたいな共産党の一党独裁ではないと。ただ政権の中枢にいる人たちが非常に強権を発動しているのは間違いない。


中島:

しかも投票率とか、開票率とか、支持率とか、めちゃくちゃな数字で、本当か?という。


青木:

しかも今ロシアも資本主義になったとか言ってるけど、結局資本主義の工場とか企業を誰が支配しているかというと、もともとの共産党の幹部の連中なんですよ。あるいは共産党の幹部の連中と仲の良かった連中。あるいは工場の工場長とか、そういった連中がソ連が崩壊するとどさくさに紛れて


中島:

利権を握っていったということですね。


青木:

そう。略奪資本主義という言い方がありますけど、まさしくそれですね、略奪ですね。


中島:

ロシア、ソ連、ロシア、見てきましたけど、ちょっと最後駆け足だったので、またいずれ最後のほうはきちんと紹介するところがあるかも知れません。ロシア、ソ連、ロシアでした。先生、ありがとうございます。


青木:

長かったなあ。








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