世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの「青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。
(前回の記事「【ロシア近現代史⑥】キューバ危機そして崩壊」はこちら)
動画版:「【先史時代①】人類の出現」
中島:
歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。
青木:
お願いします。
中島:
今回はまた新しいシリーズが始まるんですが、急に原始時代と。
青木:
前回はソ連、ロシアの話だったけど。
中島:
わりと近現代史をずっとやってきたんですけど、日本史でいうと縄文弥生ぐらいしからしかやらないので、世界史はそのあたりの猿人から始まるという、猿人、猿の人ですね。そこから始まるというところからちゃんとやってますもんね。
青木:
やってますね。ただ入試ではあんまり出ない。出す大学は限られています。
中島:
それはどこですか?
青木:
西南大学。ご出身の。西南と早稲田と上智。あのへんは好きですよ。あんまり出さないよね。
中島:
ここは河合塾じゃないですよ。もちろん長野県では高校の世界史の先生がこのYouTubeを見せてくれているらしくて、長野県のMORNING JAMのリスナーが「お前世界史とるんだったらちゃんと見ろよ」といって大人の世界史チャンネルを勧めてくれたら、もう見てるよって。長野県で?って。そしたらそのどうやら高校の世界史の先生が予備校で青木先生の授業をとっていたという。
青木:
そうですか、今後ともよろしくお願いします。
中島:
言ってもいろいろ受験生たちも気軽に見てくれて、「そんな話があるんだ」という、どうしても教科書というのは文字じゃないですか。文字というのは頭の中に入ってきにくいですよね。
青木:
確かにね。
中島:
それがお話になると人間というところが見えてくるので、そうなると記憶に残りやすいというか。
青木:
風景が浮かばないとダメなんですよね、映像が浮かばないとね。
中島:
しかも受験に受かるということ以上に、どういうことがあったのかということを自分たちで知って、それを生きる糧とか、社会をどう築いていけば良いかというところでやってほしい、そんな壮大な実はチャンネルなんですよ。
青木:
志は高いんですけどね。
中島:
いきなり一番最初というか、猿人。アフリカ大陸のあのあたりの話ということですよね。
青木:
現代の考古学では東アフリカ、あのあたり、今で言うとタンザニアとかケニアとか、あのあたりに我々の祖先である猿人が登場して、それが広がっていったという。
中島:
しかも女性の名前がついてましたよね、リサだとか。名前がついていて、そこが起源、そんなことまでわかるんですね、考古学の世界。
青木:
最初にエクスキューズしておきますけど、諸説あります。
中島:
いろんな今の現代から調べているから、いろんな説があるってことですよね。
青木:
教科書の記述なんかも3年に1回ずつぐらい年号が変わったり、注意しておかんといかんのですよ、本当に。
中島:
受験生は昔の教科書でやってたらなかなか難しいよということですね。
青木:
ダメダメ、厳しい。ということで猿人から。
中島:
だいたい500万年から700万年前。
青木:
それぐらいですね。一応教科書の記述に従うと700万年から500万年ぐらい前に我々の祖先であるお猿さんから猿人というのが登場したと。時期的にはどういう時期かというと、地球環境が変わっていって、密林だったところ、ジャングルだったところがまばらになっていったと。そうなると困る猿が出てくるわけ。どういう猿かというと落ちこぼれの猿ですね。
中島:
落ちこぼれと言うのはあれですけど、食料に困る猿、生きていくのに困る猿。
青木:
あるいは身を守れない猿。授業ではそっちのほうをわりと強調するんです。あんまり大きな武器って我々類人猿って持っていないですよね。だから基本的には強い肉食獣が来た場合には、トラとかが来た場合には逃げるしかないわけです。どこに逃げるかというと木の上なんです。ところがジャングルが疎林になっていって、木と木の間が、、、ディスタンスが出てくる。
中島:
いわゆる木から木に移れなくなっちゃう。
青木:
そうそう。実際に木の上に逃げていっても、追いかけてくるやつがいるんですよ、木登りのうまいヒョウとかね、あとヘビ。だいたい我々ってヘビはみんな嫌いじゃないですか。ほとんどの人間がヘビが嫌いな理由ってそこにあるんじゃないかと。
中島:
聖書のアダムとイブのヘビもそういうところじゃないかというふうに言われてますよね。
青木:
言われてますよね。木の上に逃げていってもニョロニョロっと。
中島:
エクスキューズして良いですか?僕はヘビ年で、親父とお袋がヘビ年で、ばあちゃんもヘビ年で、3代目のヘビということで、お袋が24のときに絶対に子供を作れと言われたぐらいうちの一家はヘビ好きな、それは置いておいて。先生、久しぶりに大人の世界史チャンネルがちょっとやわらかな感じに。
でも密林が疎林になっていって、結局木から木に移れなくなってしまう。
青木:
で、ボトンと。
中島:
落ちると。
青木:
だいたい食われちゃうわけです。その中に直立二足歩行で生きることを覚えるやつが出てくる。走りに関しては四つ足のほうがたぶん速いんですよ。ところが、立ち上がることによって、高い視野から敵の到来を察知する。
中島:
ということらしいんですよ。だから視点を上げるってことなんですね。地面に近いところじゃなくて上げると、「あ、来てる」とかいろんなことがわかるんですね。
青木:
お猿さんから我々の祖先である猿人、それに進化するときの大きなポイントは直立二足歩行。
中島:
その直立二足歩行から、猿人からどうなっていくんですか?
青木:
それから、今からこれが240万年ぐらい前にもうちょっと発達した原人というのが出てくるんです。
中島:
500万年から700万年前だから、ざっくり言うと200万年ぐらいは猿人のままずっと、だから本当に現代なんてほんのちょこっとですよね。
青木:
一瞬ですよ。文字で歴史が描かれた時代、これを歴史時代と言いますけど、ほんの一瞬ですよね。
中島:
そうですよね。話が横道に逸れました、すいません。猿人から原人。この原人というのは猿人とどう違うんですか?
青木:
一番大きな特徴は火を使うようになった。きっかけはたぶん山火事かなにかがあって、その火を、佐藤健さんがCMでやってますよね。
中島:
いろいろ人類の歴史みたいなのをやってますよね。
青木:
歴史が始まったみたいなやつね。まさしくああいう習慣があって、佐藤健さんと一緒に描かれているのは原人なんですよ。北京原人とかジャワ原人、ああいった連中が山火事の残った火を使うことを覚えた。
中島:
ということはアフリカで猿人がスタートするじゃないですか。もうそっから北京原人とかいうぐらいですから、ジャワ原人とか言うぐらいですから、グレートジャーニーで
青木:
広がっていってるんです。
中島:
200万年とか300万年ぐらいの間に広がっていってるわけですね。
青木:
というふうに考えたほうが良いでしょうね。
中島:
これは歩いて行ってるのか、はたまたもしかしたらなにかに乗って行ってるのかとか。
青木:
たぶん歩いて行ったでしょうね。海を渡るのはほとんど不可能ですよ。船を作るって大変なんですよ。とりあえず木なんかで船を作ろうと思ったら木をくりぬかなきゃいかんでしょ。あんまりやわらかい木じゃすぐグズグズになっちゃうので、硬い木を掘り下げていくためには道具がいるんですよね、かなり進化した道具が。それがあんまりない時代に硬い木をくりぬいて船を作ってそれで移動する、まあ無理ですね。
中島:
ただ一説によるとこの足みたいなのを。
青木:
あれも長距離の移動はどうなのかなというね。
中島:
そんなんですよ、スピードが実は出ないんですよね。本当に想像が膨らむと楽しいんですよね。じゃあ歩いて行ったんじゃないかと、いろんなところに広がって、火を使うようになったのが猿人から原人の違い。
青木:
そう。火が革命なんですよね。なんのために火を使ったか、いろんな目的はあるんだけど、もちろんひとつは暖を取る。それから動物の侵入を防ぐ。もうひとつは人類の歴史の中で初めて料理が始まるわけですね。
中島:
これがすごいですよ。
青木:
料理の第1段階は焼くってことですね。なんのために焼いたか。これのたぶんきっかけは山火事なんですよね。
中島:
きっかけは山火事で。
青木:
たぶんその山火事で逃げ遅れた動物なんかがいて、鎮火したあとに森の中から良い匂いがしてくるわけですよ。
中島:
肉の焼けた匂いということですね。
青木:
それに引き寄せられた連中がちょっと食べてみようと。おいしかったと。なんでおいしかったかというと、焼くという行為の基本なんですけども、余計な水分を飛ばすことによって旨味を凝縮するわけです。なおかつ雑菌を殺すことになるでしょ。これによって生しか食べていない連中と、焼いたものを食べる連中。この間に生存率の違う人が出てくるんですよ。長い間に我々の祖先はそれに気がついて、火を通したほうが良いよねと。
昔の教科書には原人たちは言葉の使用も始めたというのが書いてあったんですけど、今これは載ってないですね、教科書に。
中島:
なるほど。そうじゃないんじゃないかという説のほうが有力になってると。
青木:
なんらかの信号を口の中から「おー」とか「あー」とか言ってたかもしれないけども
中島:
感情を伝え合うとか。
青木:
はい。動物が吠えるみたいにね。でも言葉みたいな抽象的なものを伝えることはたぶんできなかった。
中島:
具体的なものを?
青木:
そうですね。この原人さんたちが200万年ぐらいなんだかんだで頑張るわけですね。次に出てくるのが旧人と言われる人たち。新しい古いの古いの旧ですね。代表がネアンデルタール人という、ドイツのネアンデルの、タールというのは谷のことなんです。ネアンデルの谷で発見された。
中島:
いわゆる化石というか骨が発見されたということですね。
青木:
これが我々とかなり近づいてきた類人猿で、原人という。脳容積がだいたい我々と変わらない。
中島:
頭蓋骨を調べることによって脳の容積がこれぐらいだっただろうと。
青木:
わかるんですよ。
中島:
それぐらいだったとするならば、かなり考える力というのを持っていたんじゃないかと。
青木:
おっしゃる通りなんですよ。
中島:
どうしますか?次に行かなくて良いですか?ここぐらいまで。
青木:
次回やりましょうか。
中島:
次回やりましょうか。次回、ネアンデルタール人からやります。
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