top of page
info

【先史時代②】埋葬・農耕の始まり【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0038】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。

(前回の記事「【先史時代①】人類の出現」はこちら


歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

今原始時代をやってるんですね。人類はどこから来たのかというところから見ていきたいなということで、まずは猿人という、猿の人と書く人たちが500万年前から700万年前ぐらいから出てきただろうと。火を使うということに途中気づいた原人という人たちが今から240万年前ぐらいに出てきただろうと。そこから旧人、新人類とか、今の私たちのちょっと前の人というのでヨーロッパ・ドイツでネアンデルタール人というのが教科書に出てきますよね。その人たちの脳の容積が今の我々とほぼ変わらないと。


青木:

そうですね。ちなみに言うと猿人が500ccぐらい。原人が時代によってちょっと違うけども、初期に800ccで、だんだんあとになるに従って脳みそが大きくなるんですよね、1200ccぐらい。


中島:

実は聞いたことがあるんですけど、頭、脳ってものすごい重たいんですよね。首から上ってめちゃくちゃ重たい。


青木:

重たいしエネルギーを使うんです、すごく。だから動物性たんぱく質みたいなものをきちんと摂っていかないとかなり厳しいらしいですよ。


中島:

前回から料理人みたいな話になってますよね。肉が焼けてうまい。でもそれだけたぶん頭を使っていたんじゃないかということなんですね。


青木:

それがなんでわかるかというと、ネアンデルタール人の時代に始まったことがあって、それが埋葬なんです。死んだ人を弔う。


中島:

ということは、そこでもしかしたら感情というものが生まれたということがわかりますよね。


青木:

そうそう、わかりますよね。これも想像なんだけども、ネアンデルタール人の遺跡なんかを掘っていくと自然環境が厳しいから、たぶん生まれてすぐに亡くなったと思われるネアンデルタール人の子どもも、赤ちゃんも見つかるわけ。そのまわりに花びらの炭化したものがある。これも説がいろいろあって、たまたまなんじゃないかという話があるんだけど、僕はたぶんその子を産み落としたお母さん、それをまわりで見ていたお父さん、肉親の連中が死んでしまった子供の遺骸のまわりに花びらをまいた。


中島:

結局そこで感情が生み出されると途端にまた歴史って歯車がどんどん速くなりますよね。


青木:

たぶんこれは僕の推測なんだけど、生まれたばかりの子供が亡くなったときにみんな悲しんだと思うんですよ。悲しんで悲しんで悲しみの先になんと思ったかというと、涙が枯れ果てた頃に「この子は死んでいない」と、「別の世界で生きているんじゃないか」と。たぶん死後の世界というものを頭の中に初めて描き出した。イメージをする力を持った。


中島:

想像する力、イマジネーションの力を持った。


青木:

そういうふうに僕は推測してるんです。


中島:

実は想像ということはかなり我々、いわゆる今の人間が勝ち残ってきた、それから社会を構築してきたというので、ものすごく大切らしいですね。


青木:

難しい表現を使うと抽象化する能力というか、目の前にある現実だけじゃなくて、そうでない世界を頭の中に思い描くことができる。それからさらに発展して抽象的な思考をすることができるようになる。


中島:

それをたぶん共有できるんですね。みんなで同じことを共有できるんですよね。


青木:

言葉を使うことによってね。たぶんネアンデルタール人ってその一歩手前の状況なんです。


中島:

なるほど。死後の世界というのはほぼ宗教の話ですよね。


青木:

そうですね。教科書には埋葬の習慣を持ったとか、宗教的儀礼、それが始まったみたいな言い方をしてますよね。ところがネアンデルタール人が今から20万年ぐらい前に絶滅をするわけです。


中島:

なんで絶滅するのかという。


青木:

いろんな説があって、一番有力な説はなにかというと、やられちゃったと。


中島:

やられちゃったというのは駆逐されたということなんですよね。


青木:

そうです、滅ぼされちゃって。


中島:

じゃあ誰から駆逐されたの?といったら、今の我々なんですよ。


青木:

いわゆる現生人類、今生きている人類、ホモサピエンス。


中島:

でも実は、前回からという言い方をしましょう。猿人、原人、旧人という話にずっとなってきましたけど、その中にも厳密に言うといろんな種類がいるんですよね。そのいろんな種類がいて、旧人の中にネアンデルタール人がいたんですけど、我々ホモサピエンスという今の現代に生きる人間たちの種類が実は力もものすごく弱くて、なんでも弱かったんだけど、ここ、さっき先生が言った想像するとか、抽象化する。


青木:

あるいは言葉、これによってかなり複雑な内容の伝達、これができるようになった。


中島:

ということで、組織になれるということらしいんですよね。だからネアンデルタール人の人たちはそんなに組織になれなかったらしいんですけど、我々は組織になって集団で襲い掛かったり、集団で自分たちを守ったりすることができたということが、いろんなネアンデルタール人をはじめ、ネアンデルタール人みたいないろんな旧人がいたらしいんですけど、それを駆逐してしまったと。



青木:

作戦を立てることができるようになったんですよ、我々の祖先。


中島:

すごいですよね。


青木:

1対1でぶつかるとネアンデルタール人のほうが筋力なんかは高かったらしい。身長も高かった。

中島:

五体がでかかったらしいですね。力とかも全然敵わなかったらしいんですよ。


青木:

逆に言うとそれを補うために我々の祖先たちはずる賢くチームワークを育んで。


中島:

脳が発達した、生きるために発達したということですね。


青木:

サッカーで言うならトータルサッカーですね。


中島:

でも思うんですけど、そう考えたら、生きるために、生き残るというのが力だけじゃないってことですよね。


青木:

そうですよ、フィジカルな力だけじゃない。逆に言うと、フィジカルな力で言うと、我々の人類って動物の世界から一番下のほうじゃないですか。


中島:

あんまりなにもできないところからずっと生き延びてきてる。


青木:

チンパンジーなんて握力、何百キロとかあるでしょ、あいつら。敵わないですよ。


中島:

なのに発達してきた。ホモサピエンスが駆逐したと。


青木:

基本にはそう言われていますね。自然環境の変化によって駆逐されたんだったら、俺たちの祖先の現生人類だって危なかったんですよ。たぶんネアンデルタール人はずる賢い我々現生人類によってやられてしまったというね。


中島:

そこからどういうふうに発達していくんですか?


青木:

発達という点でいうと食料を得るための方法、これで農業というのが今から1万年ぐらい前に始まっていくわけですね。


中島:

だから結局成っているものを食べるんじゃなくて、その成っているものを栽培するというところに行っちゃうんですよね。


青木:

そうですね、1万年ぐらい前に今で言うイラク、メソポタミアと昔習いましたけど、あのあたりで麦の栽培が組織的に始まっていく。


中島:

あそこらへんってでも土地的には栽培とかに適しているところなんですか?


青木:

めちゃくちゃ土地は肥えてますよ。昔、教科書に四大文明という言葉があった。ナイル文明とか黄河文明。みんな共通しているのは大河の流域、それから温暖な気候。あんまり木が生えていない。木を伐採する必要がない。


中島:

だから耕しやすい。


青木:

そして豊饒な肥沃な大地。今からたとえば5000年前、メソポタミアで当時の技術で1キロ小麦の種もみをまきますよね。当時の技術で80倍なんですよ、収穫は。


中島:

すごい、1キロが80キロになって返ってくるんですよ。


青木:

これに対して世界で一番貧しいのはたぶんヨーロッパなんです。


中島:

土地が。


青木:

特にイギリス。今から500年前で1キロまいてせいぜい3、あるいは2。


中島:

そしたら栄え方が。


青木:

レベルが違うんです。


中島:

しかもこの農耕の始まりというのが、今度は上下を生んでいくみたいな、そっちの話になるんですけども、時間になっちゃったので、すごい話、なかなか原始時代、2回ぐらいで良いかなというふうに言っていましたけど全然終わらないですね。3回目の原始時代に続きます。








閲覧数:7回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【ロシア近現代史⑤】冷戦・原爆・宇宙【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0035】

世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの「青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。 (前回の記事「【ロシア近現代史④】第二次世界大戦とソ連」はこちら)...

Comments


bottom of page