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【古代ローマ史④】シーザーとクレオパトラ【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0062】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


動画版:【古代ローマ史④】シーザーとクレオパトラ

中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

ローマ帝国というのを見ておりますけれども、僕本当に毎回思うんですけど、ほぼ今の話に当てはまりますよね。


青木:

はい。特にローマの政治体制とか、前も言ったローマ法王とか、今の政治あるいは法律の体系にものすごい影響を与えてるんですよ。


中島:

前回お話があったように、平時は話し合い、共和制でいろいろ物事を決めるけれども、大変なときにはやっぱり独裁というところでしていかないとという、今は本当にものすごく権力を握っている各国の首脳って多いじゃないですか。


青木:

それはある意味世界が危機の状況にあるという。


中島:

ということでしょ。


青木:

そういうことですよ。危機を乗り切るときに話し合いなんかやってらんないよと。残念ながら歴史では独裁権力のほうを選択してたんです。よくある話なんですよ、やばいときには独裁。


中島:

今たとえばロシアでいうとプーチンさんが長いことやってるし、また2030年ぐらいまでやりそうな、憲法をやるみたいな話ですけれども、そういうことだってやっぱり社会が危ういからという、歴史を学べばそういうことも見えてくるわけですよね。


青木:

そうですね。プーチンさんもそうだけども、100年前に第一次世界大戦があってドイツが負けて、負けたあとのドイツでワイマール憲法という有名な法律ができたでしょ。ワイマール憲法が規定する政治体制も僕に言わせるとローマとほぼ一緒。基本的には国民が選んだ議員たちが話し合いをして政治をする。ただやばいときには普段はなにもしない大統領がしゃしゃり出てきて「俺がなんでもやってやる」と。このへんなんてローマの政治体制とほとんど一緒ですよ。


中島:

2000年経って間ってほぼ変わってないということですよね。


青木:

変わってないし、人間ってこういうものだからこんなふうにすればまあまあうまくいくというモデルをローマが作ったんですよ。だから前回も言ったけどローマを勉強せんで世界史はわからんって。


中島:

なるほど。カエサル・シーザーが川を渡ってポンペイウスを破って自分の時代になったというところからどういうふうになるんですか?


青木:

結局元老院の共和主義者の連中もとりあえずはカエサル・シーザーには逆らわんほうが良いというので、彼を最高軍司令官という役職につけるわけ。この最高軍司令官のことをラテン語でインペラトルといって、これが英語の皇帝を意味するエンペラー、その言葉の語源です。ついでに言うとドイツなんかでは皇帝のことをカイザーといったんだけど、これはシーザーですよ。


中島:

なるほど、人の名前からそのまま取っちゃったということですね。


青木:

ロシアも皇帝のことをツァーリと言っていましたけども、これもシーザーから。


中島:

シーザーのロシア語読みだと。


青木:

イギリスなんかではエンペラーという言葉、シーザーがついた役職の名前。ドイツやロシアではシーザーという名前そのものが世界の支配者を意味する皇帝の意味合いで使われているということですね。結局権力を握った。残ったのはエジプトだったんです、まだ未征服地として。エジプトの当時の女王様はクレオパトラで、クレオパトラってエジプトの女王様だけども民族的な彼女はギリシャ人なんです。


中島:

そうらしいですね、顔つきからそうらしいですね。


青木:

ローマが征服する前の地中海世界の東半分ってほとんどギリシャ人の国家なんですよ。エジプトも少数のギリシャ人が支配している。


中島:

いわゆる古代ギリシャが栄えてザーッと人が流れたということですよね。


青木:

そうですね。ところがそのクレオパトラ、征服されそうじゃないですか。ただ彼女は頭が良いので軍事力でシーザーには、ローマには対抗できないと。じゃあどうするかというと、カエサルってすごく女癖が悪いと。


中島:

色仕掛けってことですよね。


青木:

誘惑して子供が生まれるわけですよ。そうするともう侵略の対象ではなくなるんです。


中島:

だって家族ですもんね。


青木:

そうです。それがクレオパトラの作戦だったんです。


中島:

こういう政略結婚的なものってその前にも史実としてあるんですか?


青木:

戦争状態をやめる、あるいは友好関係を作るための一番取られてきた手段は結婚なんです。


中島:

じゃあもっと前からあったわけですね。


青木:

これは世界中にあります。たとえば中国のいろんな王朝、まわりの遊牧民から侵略を受けて苦しむじゃないですか。どうするかというと皇帝の娘さん、あるいは皇帝一族の娘さんを異民族の族長に嫁がせて友好関係を握ると。


中島:

これって本当に誰かが教えたんですかね。


青木:

いや、やっぱり血の結びつきというのが一番強いので、特に結婚して子どもができればそれはもう家族じゃないですか。それが一番和平関係を作るときに確実なんです。


中島:

ただ和平を作ったとしても日本の戦国時代だって、それでもやっぱりというところがあったりするじゃないですか。


青木:

そこが人間の悲しいところですね。ついでにカエサルがすごく女性が好きだった。「ローマの歴史」という本がありまして、もしローマの歴史に興味があるんだったらこの本がすごく

おもしろいです。


中島:

どなたが書いたんですか?


青木:

モンタネッリというイタリアのジャーナリスト、この人が書いた本で。


中島:

珍しいですね、ジャーナリストが書くって。


青木:

彼の本はベストセラーになるんです。ローマの歴史を書いたり、ルネサンスの歴史を書いたりしてる。特に藤沢通郎さんというかた、この人が訳してるんですけども、この人はイタリアの現代史の先生で、ムッソリーニなんかの研究者なんです。ものすごく流麗な訳をしてるんです。ちょっと一節を読んでみるとカエサルはどんな人かって、スベトニュース、これはローマの歴史学者です。「スベトニュースによればカエサルは長身・肥満・色白・目は黒くてよく光るという」プルタルコス、この人もローマ時代の歴史学者ですけども「プルタルコスによれば痩せぎすで中背だったという。長い軍人生活の中で身体は鍛え上げられていた。若い頃から馬術に優れ、両手をうしろに組んで早駆けさせることができた。だが兵士の先頭に立ってよく歩きもした。戦車の上で眠り、粗食に甘んじ、血はいつも冷たく頭脳は常に最適だ。美男子ではない。禿げ上がった頭は少々巨大すぎ、エラが張り、口はヘの字に曲がっていて、両側にまっすぐな2本の深い縦縞が刻まれ、下唇がうんと突き出していた。それでいて女にはもてた。4度結婚し愛人情婦は数知れない。部下の兵士はこの大将のことをモエクス・カルウス、ハゲの女たらしと呼んでいる。凱旋行進のときカエサルの兵士たちは「市民よ、女房を隠せ。ハゲの女たらしが帰ってきたぞ」と叫んだものだ。これを聞いて真っ先に噴き出すのはカエサル自身であった」と。


中島:

すごい。今絵が思い浮かぶような、ものすごい素敵な翻訳ですね。


青木:

カエサルという人の人となりというか、実は3年ほど前にカエサルの顔が復元されまして、

これです。


中島:

これが女たらしのハゲ、2000年後にすごい軍司令官だった人をポピュラーがこんなことを言ってすみません。でも顔が復元されたって今まで


青木:

石像がいくつかあるんです、何種類か。その石像がちょっと違うんですよね、顔つきが。その中でさっきのモンタネッリさんの著作、あるいは歴史学者のいろんな著作ですね、そんなに美男子ではない。だいたい美男子に残しているのが多いんですよ。そうでないやつがたぶん本当だろうと。それを3Dで復元したんです。


中島:

それがこの顔ですか。でもまたあれでしょうね、それだけの男ですから懐も深かったというか、自分の部下たちがそんなことを言って噴き出すというぐらいの度量のあった男ではあったんでしょうね。


青木:

これはカエサルだけじゃなくて世界史の歴史なんか、世界史に登場する軍人たちはみんなそ

うですよね。


中島:

キュートというか、魅了的というか。


青木:

兵士たちからの人望がない人って歴史に名前が残らないですよね。


中島:

だってその人のために命を投げ出さないということですからね。


青木:

そうなんですよ。ということでカエサル、そういう人だった。


中島:

エジプトでクレオパトラと結んで、ということはエジプトも手に入れるわけですね。


青木:

ほぼ手に入れたんです。こうして世界の支配者に彼はなるわけです。ただなった瞬間に彼に油断が出てくる。元老院というこれまでローマの共和主義を守ってきた人たちの中で何人か「死んでも共和制の伝統は守る」と。そういった人たちがカエサルが隙を見せたのを見て暗殺をするわけです。その暗殺の中心人物がブルートゥスという人で、カエサル自身がかわいがってきた人間なんです。なものだから刺されるときに「君もか、ブルータス。ならば死ね

シーザー」と自分に言って死ぬわけです。


中島:

いろんな役がありますけど「ブルータス、お前もか」という。


青木:

その言葉が有名なんですけども、この史実を題材にしてシェイクスピアが劇を作るんです。そこでは「君もか、ブルートゥス、ならば死ねシーザー」と死んでいくわけです。


中島:

語られた時代が長ければ長いほどドラマチックにはなっていきますけれども。


青木:

そうですね。ほとんど同じような出来事があったらしいです、そういったセリフも言ってるみたいです。まったくのフィクションじゃないみたいです。結局カエサルみたいな政治家でも隙を見せてそのときに殺されてしまうんです。

このあとどうなるかと簡単に言うと、カエサルを暗殺した連中に対してリベンジをする連中が出てくるんです。カエサルの部下やカエサルの養子。こういった人たちが組んでブルータスたちをやっつけて、いわゆる個人独裁体制というのを打ち固める。いわゆる歴史上ローマ最初の皇帝になったと言われるのがカエサルの養子だった、お姉ちゃんの息子だったオクタヴィアヌスという人で、この人がいわゆるローマの初代皇帝。ただ自分の育ての親のカエサル・シーザーがちょっと調子に乗りすぎて反発を食ったじゃないですか。だから彼は慎重なんです。


中島:

オクタヴィアヌスですね。


青木:

元老院の連中に、共和主義の伝統を守ってきた元老院の連中に「僕はお父さんとは違う。共和主義の伝統を尊敬し、それを守りたいと思いますから」と。これに彼らは騙されて「あいつは話がわかる」というので、非常に慎重にローマの個人独裁体制が始まっていくんです。これから約400年間ローマ帝国は続いていくわけです。400年後、395年に東西に分裂をして、分裂したうちの西ローマのほうがゲルマン民族の侵略の中で崩壊していく。東ローマは、これも以前言ったと思いますが、コンスタンチノープルという大きな港町があって、これがアジアなんかの貿易で繁栄していて、その経済力があったぶんだけ生き延びることに成功するんです。

またいつかローマの歴史についてはテーマを変えて。


中島:

そうですね。その子孫の人たちがいまだにイタリアにいるということを考えて良いわけですよね。


青木:

そうですね、基本そうです。


中島:

それがまたすごい話なんですよね。イタリアの人たちはローマは歴史で相当習うでしょうね。


青木:

というかヨーロッパ中みんなそうですよ。世界を支配した国家という概念とローマという概念は一緒なんです。ドイツにこのあと中世の時代に大きな国ができるんです。これがなんと名乗ったかというと、本当はドイツ王国なのに神聖ローマ帝国。あるいはムッソリーニもそうですよ。1920年代に権力を握ってなんと言ったか、「ローマ帝国の復活を」と。世界の支配を目指す人間とって、大きな権力者になりたい人間とってカエサル・シーザー、そしてローマ帝国というのは憧れなんですよね。


中島:

我々はアジア人ですから、1回どこかでチンギス・ハーンをやりましょうか。モンゴル、あれだってあれだってすごい領土を獲得していったわけでしょう。


青木:

わかりました。次回というわけにはいかんけど。


中島:

いつかまた近い将来やりますので。


青木:

アジア人だから。


中島:

以上です。








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