生半可な知識と偏見で歴史トーク。誰も得しない日本史です。
5巻では、那田蜘蛛山編が続きます。
It made me shiver. I'm sure there are no words to express what you to have.
体が震えた この感動を表す言葉はきっとこの世にないと思う
入る前からヤバい雰囲気をまろび出している那田蜘蛛山に、炭治郎と伊之助が突入していく。
2人においていかれた善逸はイジケていたが、やがて炭治郎が禰豆子を那田蜘蛛山に持っていったことに気づく。
怒る善逸。そして迷言を叫びながら那田蜘蛛山に突入!
Tanjiro, you jerk!
とんでもねぇ炭治郎だ
"jerk"は「マヌケ野郎」とか「嫌なヤツ」とかいった意味で、かなり強い言葉です。ガラが悪い言葉です。ケンカすることを覚悟したときだけ使ってください。
"jerk"はワンピースの英語版でよく出てきますね。あのマンガ、いつもケンカしてますから。
那田蜘蛛山でさんざんな目にあいながら、ようやく炭治郎は少年の鬼、累のもとにたどり着く。
We are family. Strong ties bind us.
僕たちは家族だ 強い絆で結ばれているんだ
と、累が言ったのに対して、
I wouldn't call that "family" ties! It's a sham...It's fake!
こんなものを絆とは言わない 紛い物…偽物だ!!
と、炭治郎は刀を構えて全否定の構え。
それを聞いた塁は、
You! What did you just say?
お前 いま何ていったの?
と、マジギレ。
そりゃあ、そうだ。人と話すときに否定から入るヤツは嫌われるというのは、人付き合いの技術の基本中の基本。
今日初対面なのに、累が一番大事にしていて、長い長い間心の奥底から望み続けていたものを全否定!するとは、炭治郎、恐ろしい子……
私だって、初めて合った人に「ボク、あつまれ動物の森が大好きなんだ。ずっとがんばってるんだ」って言ったときに、全力大音声で「そんなものをゲームとは言わない 紛い物…偽物だ!!」って言われたらマジギレします。
その後も累の価値観を全否定しながら斬りかかる炭治郎ですが、累の圧倒的な強さに切り刻まれる寸前!
さすがに怒らせすぎたか、炭治郎。
そこに体を張って、禰豆子が飛び込んでくる。
鬼が人間の兄と一緒にいて、さらに身を挺して人間の兄をかばう姿をみて、累は感動する。
Theirs is a true family bond! That's what I want!
本物の”絆”だ!! 欲しい…!
そして、炭治郎と禰豆子に言った言葉が、
It made me shiver. I'm sure there are no words to express what you to have.
体が震えた この感動を表す言葉はきっとこの世にないと思う
でした。
震えるほどの感動に出会ったとき、それをどう表現しますか?
例えば、時宗の開祖である一遍なら、喜びと感動をダンスで表します。
感動を歌にして表すのもいいですね。
今日は、日本の文学の代表格である、俳句(俳諧)についてみていきましょう。
受験勉強のときに
②東山文化・宗祇『新撰菟玖波集(しんせんつくばしゅう)』・正風連歌・芸術的
と暗記した人もいるかと思います。
宗鑑の『犬筑波集』の冒頭俳諧は次のようなものです。
霞の衣 裾は濡れけり
佐保姫の春立ちながらしと(尿)をして
最初に「霞の衣の裾はどうして濡れているんだろう」みたいに始まったら、フツーは「朝露に濡れているんだ」とか「恋の涙に……」とか続くものなんです。
そう思わせておいて、「佐保姫の……」と全力シモネタをぶっ込んでくるわけです。
う~ん。下品。
新入社員の歓迎会で上司がこれを詠ったりしたら、完全にセクハラ案件です。
江戸時代に入ると、貞門派といわれる松永貞徳や、談林派といわれる西山宗因が俳諧をさらに庶民的なものにしていきました。
※そういえば、と思い出して「シーモネーター」を検索したら、なんかよくわからないラッパーがトップに出てきました(シーモネーター&DJ TAKI-SHIT - Wikipedia)。
ところが、貞門派も談林派も深みがなかったため、さらに発展していくことはありませんでした。……シモネタですからね。
・閑(しづ)かさや 岩にしみ入る 蝉の声
・夏草や 兵(つはもの)どもが 夢の跡
この芭蕉の歌風を、蕉風といいます。宗鑑の「佐保姫の……」と比べ直してください。
明らかに別格ですね。
さすが、「俳聖」と言われるだけのことはあります。
しかし、この俳句の聖である芭蕉ですら、言葉に詰まる美しい風景に出会ったことがあるといいます。
それが、それが、バオー松島です。
画像:Wikipedia「松島」
ここで、アシアナ航空による「松島や ああ松島や 松島や」の英訳を見てみましょう。
Matsushima ah!
Ah, ah, Matsushima, ah!
Matsushima, ah!
……なんだ、このアーッな感じは。。。
人は感動が言葉にならない時は、アーッな感じになるんですね。
炭治郎と禰豆子の絆を見たとき、この感動を表す言葉がこの世にない累なら、きっとこう詠んだことでしょう。
True family bond ah!
Ah, ah, bond, ah!
Bond, ah!
あ、あいつ、人じゃなくて鬼だった。