世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの「青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。
(前回の記事「中国近現代史7【天安門事件のあと香港返還】」はこちら)
動画版:「青木先生が尊敬する世界史の5人」
中島:
歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。
実は呼び出されました。今回は年末年始スペシャルバージョンということで青木先生の書斎からということなんです。
見てください。もともと音楽が青木先生は大好きなんですよね。rockin'on、わかりますか?ピストルズですよ。それからイングリッド・バーグマンとか出てますけれども、すごいなあ。
じゃあ行きましょうか。失礼します。
うわー、本の山だ。よろしくお願いします。
すごい。ここが書斎ですか。広いですね。
青木:
広いです。
中島:
しかも本だってすごいよ。どこから手を付けて良いか。突っ込みどころ満載じゃないか。
ちょっとヨシザワ、これ見てみろ。「スターリン政治体制の成立」第1部から第4部。そのあとのスピンオフまでずらずらずらとあったりとか。
ロシア革命、独立運動、韓国とか日韓の外交史とか、すごい。
先生、ここ何畳ですか?
青木:
14畳ですね。
中島:
家族は大変ですよね。
青木:
中島:
これは年末年始の特別バージョンだな。
青木先生、河合塾のカリスマの世界史の講師がいろんな本を出してますけれども、ここで生み出されるわけですよね。
青木:
そうですね、はい。
中島:
ここにおおよその資料はあると。
青木:
そうですね、知りたいことはだいたいここにありますね。
中島:
まず写真から行っても良いですか?ひとつひとつがすごすぎて。
見てください。先生、ここの写真、説明してもらえますか?
青木:
ここの並びは私の尊敬している歴史上の人物ですね。
中島:
まず真ん中に。
青木:
ガンディーですね。
中島:
ガンジーですよ。インドの独立というのをずっと頑張ってやった人。
青木:
しかもその運動のやり方が決して血を流さないと。非暴力不服従運動といって、殴られても殴り返さない。ある意味殴られっぱなしの運動なんです。
中島:
しかも僕思うんですけど、ガンジーがやった運動があの頃フィルムで映像で世界中に届けられたというのはひとつ大きかったですね。
青木:
映画もできてすぐなんですけども、あっという間にあれが世界中に広がっていくんですね。これまで世の中を変える方法って暴力しかなかったんです。必ず血が流れていたんです。それを流血抜きでやっていこうとするので、これが世界中を感動させちゃうんですよね。
中島:
しかも産業革命で資本主義が今からドンと行こうとする中で、それの逆を行く、ずっと糸をね。
青木:
自給自足ですよね。
中島:
紡いでという、そういうガンディー。
それから左側から行きますか。
青木:
左側はスウェーデンの国連の事務総長ハマーショルド。2代目の事務総長ですね。
今、国際連合はPKOってやってるじゃないですか。紛争があったときに国際連合加盟国の軍隊が行って、間に入って「まあまあまあ」って。その先例を作った人です。1956年に起こった第二次中東戦争。それをなんとか収めた。行動する事務総長ですね。
中島:
それから。
青木:
こちらは20世紀最大のインテリゲンチャ、マックスヴェーバー。「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という代表作品があって、近代資本主義とキリスト教の関係なんかを解き明かした男ですね。
ちなみにいうと亡くなったのが100年前で、死因はスペイン風邪。
中島:
そうなんですか。
青木:
スペイン風邪で56歳で亡くなっているんです。
中島:
こういう人はもう少し生きていれば社会が変わったかもしれないなというところがあったりするんですよね。
青木:
授業でも言ったんですけど、彼の最後の仕事はなんだったかというと、世界でもっとも民主的だと言われたワイマール憲法、あれの草案に参画しているんです。
実際に自分たちが作った憲法がどういうふうに機能していくのかについて見る前に亡くなっちゃうんです。
中島:
我々みたいな、先生は違うでしょうけど、私みたいな者は死んでも誰か代わりがいるということですけど、こういう人たちはなかなか代わりがということですね。
青木:
そうですね。
中島:
そして。
青木:
孫文先生。
思わず先生と言っちゃったけど。
中島:
そうですね、この前までずっと中国近現代史をやりましたからね。
青木:
これはわりとちょっとかっこつけてる写真です。もっといつも笑ってるんですよ。ニヤッと、それが良いんですよね。
中島:
やっぱり歴史上の偉人というのはものすごく人間味溢れる、みんなから好かれる。
青木:
特に革命はそうですね。人間的な魅力のない人間についていこうと思いませんもん。いろんな伝記を読んでいても良いんですよ、ある意味いい加減。
中島:
なるほど、鷹揚なところがあったりとか、大風呂敷。でも大風呂敷というふうに人は思うけれども、実際はこの人の頭の中には、本当にやっぱりあるんですよね。
青木:
ちゃんとした青写真ね、近代国家の青写真があったんです。
中島:
そして。
青木:
紅一点。メアリ・グルストン・クラフトというイギリスの思想家ですね。
女性解放の思想がありますけども、女性解放運動の言うなれば基礎を作った、そういう人ですね。
中島:
そうなんですか。
青木:
娘さんは小説家、SF小説家。代表作品がフランケンシュタイン。フランケンシュタインを書いた人のお母さんですね。
中島:
そういう人たちの写真が貼られているかと思いきや、またロバートキャパの崩れ落ちる戦士、兵士ですね。
崩れ落ちる兵士。すごくすごく有名な。ライフ誌という雑誌でこれが載ってということで。スペインの内戦でしたっけね。
青木:
そう、スペインの内戦ですね。この1枚でキャパが有名になるんですよね。
中島:
そうですね。結局1枚の写真が世論を動かすみたいな、そういう写真誌のさきがけの、それから戦争写真家のさきがけという人ですよね。
青木:
僕がキャバの名前をなにで知ったかというと、学習研究社の「学習」という雑誌。
中島:
科学と学習の学習ですか。
青木:
あれに載ってたの。昔の「学習」は結構レベルが高くて、ああいう歴史ものって結構載っていたんです。とがっていましたよ。ちょっとピンボケという彼の代表作、それが載っていて、僕は興味を持った、小学生のとき。
中島:
小学生でロバートキャパに興味を持つって。
青木:
偉いのは学習研究社です。
中島:
そういう小学生もいるだろうなという。そういうところで興味を持った人がのちのちこうなってるわけですからね。たくさんの人たちに世界史を教えているという。
しかも他にも、昭和史の天皇だとか、こういうのってどういう書物なんですか?
青木:
これは読売新聞社がまとめていた昭和天皇の話ですよね。基本的に戦前の天皇陛下って国家大権、主権を持っている。あのかたがなにができてなにができなかったかというのが昭和史なんですよ。
中島:
ここのところでね。どうしてあの太平洋戦争に突入していったのかというところの難しさですよね。
青木:
そうですね。そういったところを丹念に、半端じゃないです。めちゃくちゃ詳しくて。
中島:
そういう本を普通の書店で買うんですか?
青木:
そうですよ。でも今は通販が多いですね。探していた古書、古い本。ほとんど大手のAmazonの熱帯雨林の。
中島:
Amazonの熱帯雨林って、Amazonと言ってますから。熱帯雨林ですね。Amazonで良いです。Amazonはそんなのが売ってますか?
青木:
売っています。大概ヒットしますよ。20年探した本が出てきた。しかも安くて、あるんですよ。
ぶっちゃけた話、神田の古本の、あそこは価格が決まっているんです。
中島:
古書店の街ですよね。
青木:
ところがそれとちょっと。
中島:
もう10分になっちゃいましたけど、大丈夫です。
青木:
それとちょっと価格設定も違うんです。めちゃくちゃ高い、神田だったら9000円する本が200円で売っていたりとか。もう震えながらポチをやります。
中島:
需要と供給だったりとかするので、そこのところはなかなか難しかったりするんですけど、その価値がわからずにそのまま出ていたりとか。
青木:
しめしめですよね。
中島:
すごい。皆さん、年末年始の特別バージョンで、書斎から見える世界史。これをやっていきます。
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