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【ロシア近現代史②】世界初!社会主義国家誕生【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0032】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

ロシアが第一次世界大戦によせば良いのに参戦し、それでレーニンたちが、レーニンたちというよりも国民でしょうね、ロシアの国民たちが「この戦争はなんなんだ」と。それで帰ってきて、第一次世界大戦が終わります。自分たちの思うような国づくりをやっていこう、それが社会主義。


青木:

レーニンが率いた政党が社会民主労働党のボルシェビキ派と言われるグループです。これがのちに共産党というふうに名前を変えるわけです。


中島:

いわゆる貧富の差がすごくすごく大きいから、その貧富の差をなくしていこうという経済システムを標榜する国づくり。


青木:

そうですね。そのレーニンたちが支持基盤にしたのが労働者兵士。ちなみ労働者兵士たち、自分たちの生活や権利、あるいは自分たちの命を守るために団結して会議を組織するわけです。この会議のことをロシア語で「ソヴィエト」と言うんです。

ソビエトって国の名前として僕らは認知してましたけど、もともとは労働者や兵士たちの組織、会議体。これをソビエトと言っていたんです。それをレーニンたちが支持基盤にして、彼らをうまくまとめて、そのエネルギーを利用しながら革命によって権力を奪取するのに成功する。


中島:

ソビエト、僕が小学校のときには、世界地図をこうやって、いつも塔文社さんにお世話になりながら世界地図をやっていますけど、実は世界地図というのは、僕が子供のときから、もう55歳になっているので当然かもしれませんけど、ちょこちょこバージョンアップしないと


青木:

そう。使えないですよね、はっきり言って。


中島:

僕が30ぐらいのときにどんな粗大ごみがあるんだろうとパッと粗大ゴミを見たときに地球儀があったんです。僕は地球儀が大好きで、パッと見て「うわー、地球儀、これ持って帰ろう」と思ったら、「ソ連」と書いてありました。

やっぱりどんどん変わっているんですよね。ソビエトというのは自分たちがいろいろ権利を守るためにする会議のことだったのが、ロシアを含め同じような考え方の国が集まったのをソビエト連邦という名前にしたということなんですね。


青木:

さっき言ったようにソビエトは会議体でしょ。労働者、それから兵士。兵士というのは実際には農村から徴兵された元農民たちなんです。


中島:

もともと兵士じゃないということなんですよね。


青木:

都会にやってきて、にわかに政治に目覚めた連中。この人たちをレーニン率いるボルシェビキという政党が指導するわけ。ちなみにレーニンも含めて、ボルシェビキ、のちの共産党、ほとんどのメンバーがインテリです。

革命によって労働者や兵士たちが旧政権を打倒しますよね。だけど、新しく国を作るというときには政府を作らないかんでしょ。政府なんていう複雑な組織は例によって、高度な読み書きの能力が必要なんです。だから労働者や兵士は革命を起こすことはできるけども、革命後の政権を担うことはなかなか難しいんです。


中島:

そこできちんと国づくりというのができる人たちというのはかなり勉強して


青木:

どうしてもインテリゲンチャになってしまうんです。


中島:

ここでまたひとつ言っておきたいのは、それこそ理想に燃えて、こういう国づくりが国民のためになるだろうというふうなことはみんな思ってますよね。


青木:

それはそうですよね。そういうことで一応革命はしたと。ところが、革命が成功したのは1917年ですけども


中島:

第一次世界大戦が終わる前ですよね。


青木:

翌年の18年にドイツ、オーストリアとは講和条約を結んで、第一次世界大戦からは抜けたわけです。ところが前後して、レーニン率いるボルシェビキの政権、共産党の政権に反抗する人たち、旧資本家層とか地主。


中島:

なるほど、自分たちの利権を守りたいという人たちですよね。


青木:

あるいは帝政をもういっぺん復活させたいという。そういった人たちを中心に内戦が始まってしまうんです。


中島:

なるほど。第一次世界大戦から抜けることができたのに、今度はロシアの中で戦争を。


青木:

ロシア人同士の内戦が始まるんです。しかもそれに輪をかけて、レーニンたちが作った国家の存在を認めないまわりの国々、これが一斉に襲いかかるわけです。これを対ソ干渉戦争といって、対ソ干渉戦争の一環がなにかでいうと、地図でいくとこのへんですね。日本を中心に展開されたいわゆるシベリア出兵。


中島:

そのときはもうソビエトって名前にはなっていたんですか?国の名前。


青木:

ソビエトロシアという国になってます。共産党に指導されたソビエトが運営するロシアという国家。


中島:

なるほど。その当時はソビエトという共産主義に支配された国家だけれども、別の資本家の人たちもいたということですね。


青木:

そうです。それとの間に内戦が起こるわけです。


中島:

日本が入っていくんですね。


青木:

日本、入っていきます。社会主義、共産主義の政権を打倒するということを口実に、できればシベリア、資源がたくさん眠るシベリアに利権を拡大したいと。


中島:

日本としては、日露戦争が終わっても自分たちが思ったようなものをもらえなかったというのはひとつ。


青木:

ありますね。その日本も含めてアメリカもイギリスもフランスも、いろんな国々が一斉に襲いかかるわけです。


中島:

みんな利権を求めてですか?


青木:

これもね、利権が具体的にある場合もあるし、単なる恐怖感。よく聞かれるんですよ、生徒から。「対ソ干渉戦争でみんな襲いかかりますけど、なんで襲いかかるんですか?」と。さっき言ったように日本みたいにシベリアの利権が欲しいという具体的な目標もあった国もあるけれども、ほとんどの国ってとりあえず怖いなと。


中島:

自分たちと違う経済システムで、経済システム=政治システムになるのが怖いと。


青木:

異質なものに対する根源的な恐怖、しかもロシアってでかいじゃないですか。僕はよく言うんだけど「君たちも経験ないか?夏休みが終わったあとに喧嘩が強そうな転校生がやってくるとお前らどうした?先生が職員室に帰ったあと、みんなで襲いかかったろ?」と。


中島:

そういう経済システム、ひいては政治システムのところがまったくなかったわけですよね。


青木:

なかった。19世紀にヨーロッパでいろんな革命があって、実験的なものはあったんです。でも国家を運営する制度として社会主義を採った国ってなかったんです。とりあえずさっきも言ったように異質なものに対する資本主義の国々の恐怖感、それが干渉戦争を引き起こしたというふうに考えて良いんじゃないかと思います。


中島:

それでどうなるんですか?


青木:

めちゃくちゃになります。壊滅寸前になります、ロシアは。


中島:

いろんなところが入ってきて内戦を煽るから。


青木:

まず工業は壊滅。第一次世界大戦が始まる前の1913年と、内戦真っ最中の1919年を比べた場合、鋼鉄の生産能力は100分の1になっちゃいます。やわらかい鉄、銑鉄生産能力が13%、10分の1。そして穀物生産能力は半分になっちゃうんです。国民みんなが飢えた状態になる。


中島:

そしたら余計に大変なことですよね。


青木:

そういう状況を乗り切るためにレーニンたちが戦時共産主義という体制をとるわけです。


中島:

今は大変な状態だと。戦時共産主義って?


青木:

簡単に言っちゃうと共産党にいろんな権力を集中させて、経済システムをきっちりコントロールする。よく私、生徒に説明するんですけども、人間が生きるための経済活動って作って運んで消費をする。生産流通、それで消費です。その消費の現場を経済用語で市場と言うわけです。我々が生きている資本主義経済システムというのは、消費の現場であるマーケット、市場にいる国民、これが欲望を表明すると、それに応じてものを作ったり運んだりするわけです。たとえば「良い車に乗りたい」というふうに我々が表明すると、トヨタさんが「じゃあレクサス作りましょう」と、それをペリカン便が運んでくれる。これが資本主義経済システムの基本的な形なんです。

これに対してレーニンたちに言わせると国民に向かって「お前ら欲しがるな」と。「欲望を表明されても対応できないんだよ」と。


中島:

なるほど。実際できないですもんね。


青木:

工場もめちゃくちゃだし、農園もめちゃくちゃだし、鉄道も道路も寸断されていると。作れないし運べない、だから欲しがるなと。そして、資本主義経済とはまったく違う、欲望をコントロールする経済システムというのが打ち固められていくわけです。


中島:

実際に具体的にいうと、生産をコントロールし、流通をコントロールし、消費をある程度国が出すと。


青木:

はい。生きていけるだけで満足しなさいという。太平洋戦争中も日本国民「欲しがりません、勝つまでは」って言われたじゃないですか。あれのもっと厳しいやつです。

これが僕が思うには、今後のソビエトの経済体制としてずっと残っていく。国民が欲しいものに対応してものを作るという我々の資本主義経済では当たり前のことができなくなったし、それが伝統になっちゃうんです。


中島:

そこからどうなっていくかというのは次回お届けしますので、お楽しみに。








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