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ユダヤ人の歴史(1)ユダヤ教の確立【青木裕司と中島浩二の世界史ch:278】

更新日:2023年11月30日



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

イスラエルとパレスチナ、心配なところではありますが、歴史も含めていろいろ見ていくと。


青木:

そうですね、まず焦点のイスラエル。さらにはイスラエルの多数派の民族であるユダヤ人。この人たちは一体どういう人たちなのか、イスラエルってどんな国なのか、歴史を遡って見ていきたいと思うんですね。世界史の生徒からもよく聞かれるんですよ。「先生、ユダヤ人って結局なんなんですか?」と。

結論から先に言っておくとユダヤ人と言われる概念はユダヤ教を信仰している人。基本そうなんです。基本的には心の問題なんですよ。ヤハウェという神様を一神教として信仰している人。聖典でいうと旧約聖書ですね。我々が旧約聖書と呼んでいるものを信仰して、それに従って生きてらっしゃる人たち、これをユダヤ人という。人種、いわゆる肌の色とか、あんまり関係ないんですよね。


中島:

そういうところで人種と民族は違うんだよというところで、この世界史のひとつ大きな勘違いしないでほしいところですよね。


青木:

そうそう。民族というのは文化による分類、文化というのは私の定義ですけども、人間を幸せにするさまざまな知恵と。たとえば食文化、あるいは言語文化、宗教文化、いろんな形がありますよね。これに対して人種というのはたとえば肌の色とか、体の形とか、そういった見かけでもって分類をすると。これは全然違うんですよね。ユダヤ人という概念はある種民族的な概念。僕びっくりしたんだけど、去年の12月に福岡国際マラソン、あれで優勝した選手、あれイスラエル国籍なんですよ。マシェル(訂正:マル=テフェリ)という選手だったんですけども、ただインタビューでわかったんだけども、10数年前にエチオピアからやってきた。肌の色はかなり黒いんですよね。

今のイスラエルで多数派を占めている人たちというのは基本的にヨーロッパから来ている人が多いので、肌の色は?と言われたら白い人たちが多いんです。ところがこれはイスラエル自身が言ってるんだけども、ユダヤ教徒はみんなイスラエルの国民になれると、帰還法という法律があって戻ってくる法律。だからユダヤ教を信仰している人はユダヤ人である、そういった人たちは受け入れますよと。


中島:

イスラエルに戻ってきて大丈夫ですよと。国民になれますよということですね。

青木:

そうなんですよね。エチオピアからも特に2000年代に入って10数万人来てるんですね。そのうちの1人が福岡国際マラソンで優勝して。


中島:

ただ生まれたときはその宗教じゃなかったでしょうから。


青木:

ただひとつ条件があって、父親がユダヤ教徒であると。もちろん自ら改宗しても大丈夫みたいなんですけども、とにかくユダヤ教を信仰している人をユダヤ人というんだということですね。

一方で世界史の教科書に載っている単語でヘブライ人とかイスラエル人、ずっと昔の古代オリエントの時代というのがあって、その時代にヘブライ人とかイスラエル人ということがあるけども、基本ヘブライ人というのは他称。彼らを外側の人たちが見て呼ぶ言葉なんですね。イスラエル人というのは彼らの自称です。僕らは自分たちのことを日本人って、外国からジャパニーズって。ジャパニーズに当たるのがヘブライで、日本人に当たるのがイスラエルと。

いわゆるイスラエル人の祖先の中にヤコブという人がいて、旧約聖書に登場しますけど、そのかたの別名がイスラエルなんです。そこから自分たちが分かれてきて、基本12の部族を作ったと。その部族の中でのちになって一番繁栄するのがユダ部族。このユダ、ユダヤというのが彼らの民族を代表する名前になっていくんですね。

テキパキやっていきますけども、今から3500年ぐらい前ですかね、今日我々がパレスチナと呼んでいる地域にユダヤ人の皆さんがおられたわけですね。遊牧生活をやっていたらしいです。そのうちの一部がエジプトに行って、エジプトでいじめられちゃって、これは生まれ故郷であるパレスチナに戻ろうというので、モーセという、モーゼとも言いますけども、その預言者に率いられて彼らはエジプトからパレスチナに戻ってくる。ところが目の前に海があると。モーゼが神であるヤハウェになんとかしてくださいと言うと海がパーっと開いたというあの「十戒」という映画がありました。うちの女房があの「十戒」という映画と「ベンハー」を一緒に見てこんがらがったと。

中島:

じゃあそのときにユダヤ教というか宗教は?


青木:

できつつある課程ですね。


中島:

他のところは別の宗教ということですよね。


青木:

基本的には地域地域に地域宗教。


中島:

いわゆる土着の宗教ということですよね。


青木:

人々が混じり合うとその神様も良いねというので、基本宗教って2つしかないじゃない、一神教か多神教か。だいたい多神教なんです。昔の日本も一緒ですよ。その中でイスラエルの民、ユダヤ人と言われる人たちというのはヤハウェという神様、これを信仰することにだんだん純化していくんですね。戻ってきて、今から3000年ぐらい前ですかね、今のパレスチナのあたりにヘブライ王国という国を作って、これが繁栄するんです。

その繁栄の基礎を築いた1人の王様がダビデという王様で、彼がなにをやったかというと、王様になる前にユダヤ民、イスラエルの民をいじめにやってくるペリシテ人、これを打ち破ったと。打ち破るときにダビデが戦った相手というのが巨人のゴリアテ。有名なシーンで、これをそのまま石像に表したのがミケランジェロのダビデ像。彼が手に持っているのは石投げ器と石。これで身長2メートル以上、たぶん3メートルあったと言われていますけども、巨人ゴリアテをやっつけた。ここから生まれた言葉がジャイアントキリングという、巨人を殺すジャイアントキリング。日本では番狂わせと言っているわけですね。

そのダビデのあとにソロモンという王様が、これも旧約聖書に登場する有名な王様で、そのソロモン王のあとに残念ながら統一ヘブライ王国は分裂しちゃうんです。内部対立があって、部族対立があって分裂して、北にイスラエルという国、南にユダという国があって、それがそれぞれ外国によって滅ぼされちゃうんですよ。北のイスラエルはシリアという国、そして南のユダ王国は新バビロニアという国に滅ぼされるわけですね。

しかも新バビロニアはユダ王国を滅ぼすだけじゃなくて、そこに住んでいたいわゆるユダヤ人、この人たちを自分たちの都であるバビロンに強制連行しちゃうと。この状態が50年間続いて、これを通称バビロン捕囚、英語ではExileというんです。Exileって2つ意味があって、「ならず者」という意味です。ミュージシャンのEXILEさんたちはそういった意味でたぶん使ってると思うんだけども、もう一方は「追放された人」とか「亡命させられた人」とか、そういった意味があるんですよね。

とにかく国は滅びるわ、強制連行されるわ、大変な目に遭ったけども、50年後に解放されてまたパレスチナに戻っていくと。そこで世界史の教科書なんかではユダヤ教が確立をしたと。さまざまな民族的苦難に遭遇してるんで、それに対抗する必要性があると。


中島:

苦難というのは信仰を求めますよね、よりどころというか。

青木:

その通りなんですよ。しかもいろんな人たちからいじめられる、それに対しては結束して立ち向かうしかないですよね。僕は仏教徒なので無責任な説明になるかもしれないけど、そういういじめに対抗するためにも皆さんの心を1つにするためにも、神様って1つにすべきだよねと、1つであるべきだよねと、そういう機能的な説明っておかしいかもしれないけど、さっきの中島さんがおっしゃった十戒、ヤハウェという神様がイスラエルの民、ユダヤの民に与えた10のルール。1番目はなにかというと、「みだりに他の神様の名前を言っちゃダメだよ」と。2番目は「私は嫉妬深い神様だからね」と。一神教というのをユダヤ民に植えつけていくわけですね。

おもしろいのは古代オリエント世界で一神教ってユダヤ教ぐらいのものなんですよ。だいたい本当に乱暴な、宗教の話、デリケートなのであんまり言えないんだけど、ただ世界史を勉強した人間からすると、さっき言ったように宗教って一神教か多神教かでしょ。日本は多神教じゃないですか。ハワイも多神教なんですよ。だいたい多神教の地域ってそんなに不幸な目に遭ってないんじゃないかなと。不幸と幸せをあれすると、どっちかというと幸せの偏差値のほうが高いんじゃないかなと。一神教を信仰している国、民族、個人もそうかもしれんけど、一般にいろいろ苦しいことがあったというふうに言えなくもないのかなという。


中島:

見てみるとそういうことが多かったよなということですよね。


青木:

すいませんね、私、仏教徒なので、異教徒から見るとそういうふうに見えてしまうということですね。

それでイスラエル、ユダヤ人たちが信仰するユダヤ教というのが、だいたい今から2500年ぐらい前に確立をするわけ。そこに王国を作って再び繁栄を取り戻すわけですね。ところがまたしてもユダヤ人たちに外国からの外国人による侵略がこのあと展開されるわけです。その話は。


中島:

わかりました。次回ということになります。








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