歴史を知れば、大河ドラマの演出がもっと楽しくなる
史実と異なる演出にこそ、ドラマの面白さがあるのではないでしょうか
こんにちは のぶたです
今日は、46話「刀伊の入寇」を解説していきます。
戦う隆家と大宰府の「やんごとなき武者」たち、かっこよかったですね!
【刀伊の入寇の戦闘】
寛仁三年(1019年)に刀伊の入寇が起こります。
なお、「刀伊」とは、高麗から見て東の夷狄、すなわち「東夷」に日本で「刀伊」の漢字を当てたものです。
『後漢書』東夷伝の「東夷」なんですね。
民族的には女真族といわれる人たちで、東部満州のツングース系の民族となります。
さあ、3月28日、刀伊の船50艘が対馬と壱岐に襲いかかって、放火や殺人におよびました。
後述する常覚や対馬守の報告によると、対馬で殺害された人は18人で、拉致された人は116人です。
壱岐で殺害された人は148人で、拉致された人は239人で、生き残ったのはわずかに35人という有り様です。
4月7日、対馬守(大春日)遠晴と壱岐島分寺講師常覚が大宰府に到着して、刀伊の入寇を報告しました。
なお、壱岐守藤原理忠(まさただ)は、28日からの襲撃で殺されています。ドラマでもありましたね。
大宰府の解によると、刀伊は15メートルほどの船に50~60人ほどが乗っていて、盾・鉾・太刀・弓を備えていたそうです。
ドラマでは、船の大きさと刀伊の人数感は再現できていませんでしたね。予算がもっとあれば…
また、刀伊は山野を駆け巡り、馬牛を食い尽くしたり、犬も食らっていたそうです。
老人と子供はすべて殺し、男女を船にさらっていきました。
同じ日(7日)、刀伊は筑前国怡土郡に上陸して、49人を殺害して、216人を拉致しました。
さらに、刀伊は志摩郡で112人を殺害して、435人を拉致し、
早良郡では19人を殺害して、44人を拉致しました。
この日、日本側では、文屋忠光らがよく戦い、数十人を射て敵の首級をあげ、武具も奪いました。
ドラマでも、忠光が敵の首をもって隆家に報告していました。
4月8日、大宰府は二度目の報告書を朝廷に送りますが、そこには驚くべきことが記されていました。
隆家自らが海岸近くの警固所で合戦を指揮するというのです!
これはすごい! 平安貴族がですよ! 大宰府じゃなくて、最前線の警固所に出て指揮するんですよ!
警固所って、ほぼ海岸線沿にあるので、実質的には戦場にでるようなものです。
この決断、隆家以外の誰が大宰府のトップでも、ぜったいに出てこない決断だと思います。
ほんとにすごいです。
隆家は、朝廷への報告を書きながら、同時に藤原助高と藤原友近を警固所に急行させました。
ドラマでは、助高たちは隆家といっしょに進軍していましたね。
同じ日(8日)、刀伊は能古島に上陸して、9人を拉致しています。死者の報告は残っていません。
4月9日、刀伊が博多に上陸して、警固所を狙いました。
九州各国の兵の徴発は間に合わなかったため、平為賢や平為忠の指揮のもと、藤原助高や藤原友近が戦いました。
ドラマでもありましたが、鏑矢を射ったら敵は驚いて船に逃げ帰りました。ドラマでは、船には帰りませんでしたが。
この日の戦いは日本軍が優勢だったようで、刀伊を多く射殺して兵具を奪い、拉致された人々の一部が敵船から脱出することができました。
あと、東のほうでも戦闘が起こっていて、筥崎宮を焼こうとした刀伊を射殺して追い返したそうです。
4月10日と11日は、風が強くて、刀伊は襲ってこれませんでした。
このとき、大宰府軍は兵船38艘で敵を追撃しました。
同時に、ドラマであったように敵が襲ってきそうな船越津に、前もって兵を派遣しました。
ドラマでもあったように、隆家は追撃の際に対馬を超えて国境を侵さないようにと指示しました。
12日、刀伊は筑前国志摩郡の船越津に現れましたが、日本の精兵が待ち構えていて、戦闘となりました。
ドラマで、周明がーっ!ってなった戦いです。精兵の中に双寿丸もいましたね。
ドラマでは、今回はここまででした。
13日、刀伊は肥前国松浦郡で略奪を働き、前備前介源知(さとる)たちと戦闘になっています。
松浦郡は、まひろが行こうとしていたところですね。
結果的には、この13日の戦いが最後となり、隆家率いる日本勢は、みごと外敵を撃退することに成功したのです。
刀伊の入寇の後日譚もおもしろいのですが、次回予告を見る限り、来週にガッツリ取り扱いそうなので、本日はここまでです。
光る君へも、残すところあと2回となりました。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
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