【目次】
藤原頼忠(ふじわらのよりただ):橋爪淳
まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。
兼家のライバル。公任の父。娘を円融天皇に入内させるも皇子を得られず、政治的な力を持てなかった。兼家が辣腕を振るいはじめるとさらに押され、名ばかりの関白になる。
声が小さい関白です。円融天皇が困っていました。第6話の985年段階で、62歳です。視聴者は意識していないかもしれませんが、頼忠は関白なので、第1話~第6話を通して、一番偉い人です。
藤原兼家からはナメられてるかんじもしますが、第5話で花山天皇に対抗するときは、偉い人3人(関白頼忠・左大臣源雅信・右大臣藤原兼家)が手を組みました。酒を飲むと声が大きくなる能力があります。
ドラマには出てこないけど、娘には動画「うさぎ先生の 光る君へガイド:第5回後編「告白」 ドラマが教えない花山天皇史」とブログで紹介した花山天皇の女御の諟子もいます。
橋爪淳(はしづめじゅん)
1960年生まれの俳優です。初主演は1987年の『若大将天下ご免!』で、大河ドラマは、『徳川家康』『春日局』『信長』『徳川慶喜』『元禄繚乱』に出演しています。
解説:史実としての藤原頼忠
左大臣藤原実頼の次男で、母は左大臣藤原時平の娘です。邸宅は三条殿。はじめ時平の長男保忠の養子になったけど、兄が死んだので戻ってきました。子どもには公任・遵子(円融天皇皇后)・諟子(花山天皇女御)などがいます。
藤原頼忠は声が小さい関白で 飲むと声が大きくなるうさ 62歳うさ
子どもには円融天皇に愛された遵子と 漢詩が上手かった若きホープ公任がいるうさ
ドラマには出てこないけど 娘には前の動画で紹介した花山天皇の女御の諟子もいるので ぜひチェックしてほしいうさ
みんな忘れていそうだけど 頼忠は関白なので 今一番偉い人うさ
なんかひ弱そうな頼忠が どうして一番偉い関白なのかというと
頼忠の父親の世代に 頼忠のパパ・実頼と兼家のパパ師輔が争っていたうさ
このパパバトルは 実頼の娘が天皇の子を産めず
師輔の娘(兼家の妹でもある)安子が冷泉天皇と円融天皇を産んだことで決着がついたうさ
……かに思われた、しかし!
ライバル師輔は両天皇が即位する前に死去してしまったうさ
こうして 頼忠パパの実頼が冷泉天皇の関白となったことで 頼忠パパ実頼の勝利となったうさ
……かに思われた、しかし!
頼忠パパ実頼は冷泉天皇のおじいちゃんじゃなかったので力は弱く 死んだ師輔の息子たちが台頭してきたうさ
そんなとき 実頼は自分のことを「名ばかり関白」と自虐していたうさ
師輔の息子たちというのは 伊尹や兼通 そしてこわーい兼家うさ
あ、いちおう為光(花山天皇が愛した忯子ちゃんのパパ)も師輔の息子うさ
その後 冷泉天皇が譲位して円融天皇が即位しても 頼忠パパ実頼は摂政になったけど
もう70歳とかだったので 間もなく死去したうさ
なので 頼忠パパの実頼は「名ばかり関白」とはいえ 最後までトップランナーでいられたうさ
しかし!
次の関白には師輔の息子 つまり円融天皇のおじさんズ長男の伊尹が任じられたうさ
師輔の系譜 これを九条流といううさけど ここからは九条流の時間うさ!
……かに思われた、しかし!
伊尹から兼通まではよかったうさけど 兼通と兼家が激しく権力を争ったうさ
さらに円融天皇が兼家と仲が悪かったこともあり 兼通の次の関白には 声が小さい頼忠が選ばれたうさ
このとき 声が小さい関白頼忠は54歳だったうさ
ただ 天皇との親戚関係が薄いと強い権力を持てないので このままでは頼忠は 「名ばかり関白」のパパ実頼と同じ運命をたどるうさ
だからこそ 頼忠は娘の遵子を円融天皇に入内させたうさ
ここで 「光る君へ」で円融天皇は兼家の娘の詮子ではなく 頼忠の娘の遵子を愛していたことを思い出してくださいうさ
あれは 個人的な好き嫌いだけでなく 反兼家(九条流)の円融天皇が なんとかして声が小さい関白頼忠(小野宮流)を引き上げたいという 円融天皇の政治的な行動でもあるうさ
円融天皇は そうとうに苦々しく兼家の孫の懐仁親王を東宮(天皇の後継者)にしていたでしょ うさ
兼家からみれば ライバル頼忠の娘・遵子が円融天皇の男子を生むかどうかに兼家系(九条流)の未来がかかっているうさから
安倍晴明に呪詛させてまで 遵子の出産を食い止めたうさ
そういえば 兼家は遵子呪詛の成功体験に調子に乗って 忯子の子も呪詛してまた成功したけど
これらの成功体験が のちのち我が身に跳ね返ってこないといいうさねえ
「人を呪わば穴二つ」うさよ うささささ
話しを声が小さい関白頼忠に戻すうさ
今第5話を思い返せば 兼家・頼忠・雅信の3人がかりで為光の娘・忯子ちゃんのお腹の子を呪詛しようとしたときに
さすがに 頼忠は「オレの娘・遵子が円融天皇の子を産まなかったのも兼家が安倍晴明に呪詛させたからじゃね?」と察したと思ううさけど
そのあたりはどうなんでしょうねえ。。。
円融天皇が花山天皇にしたあとも 花山天皇の叔父の飲み会ヘタクソ義懐がまだ公卿にもなっていなかったので 第6話の段階でも 声が小さい頼忠が関白を続けているということうさ
ただ 政治の表場面では頼忠は身を引き始めたようで 花山天皇の即位後は政務を欠席することが増えたうさ
動画「第4回「五節の舞姫」 お目にとまらない系女子」でも五節舞のときに頼忠が早退した話しをしたうさよ 概要欄から見てくださいうさ
なお裏では まだ声が小さい関白頼忠の戦いは続いているうさ
頼忠は花山天皇にも娘の諟子を入内させているうさ
こちらのほうは 花山天皇が忯子ちゃん好きすぎて見向きもされていないうさ
年表
では、藤原頼忠の略年表を示します。年齢は数え年です。
924年:1歳。誕生。
941年:18歳。従五位下。
963年:40歳。参議。
968年:45歳。従三位中納言。
970年:47歳。権大納言。
971年:48歳。正三位右大臣。
972年:49歳。「十月摂政太政大臣藤原伊尹が辞表を提出し、その弟権中納言藤原兼通・大納言藤原兼家が摂政の地位を争った時、伊尹と親しかった頼忠は兼通を支持し、十一月に伊尹が没すると氏長者となる」(『国史大辞典』)
974年:51歳。氏長者を兼通に譲る。
976年:53歳。一上の宣旨を蒙る。
977年:54歳。4月、左大臣「兼通は兼家を押えるため貞元二年四月左大臣源兼明を親王とし、頼忠を左大臣とした」(『国史大辞典』)
10月、関白(円融天皇)、氏の長者。「十月兼通が没すると円融天皇の関白・氏長者となり(同時に大納言兼家は右大将から治部卿に左遷)」(『国史大辞典』)
978年:55歳。太政大臣→娘の遵子入内(円融天皇)
982年:59歳。遵子が皇后に。
984年:61歳。花山天皇即位→頼忠は関白続行。ただし、遵子には子がないため、皇太子には兼家の娘詮子(円融天皇の女御)の子懐仁親王(一条天皇)が立った。
(頼忠は花山天皇の関白となるが公事に従わず政治の実権は藤原義懐が掌握した『国史大辞典』)
985年:62歳。興福寺領備前国鹿田荘の相論を氏長者として解決することに失敗。
986年:63歳。花山天皇出家→一条天皇即位→兼家が摂政となり実権を掌握。
989年:66歳。6月、死去。贈正一位
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