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執筆者の写真順大 古川

中国近現代史2【日清戦争と孫文】【青木裕司と中島浩二の世界史ch:14】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル、中島浩二です。そして水先案内人は河合塾のカリスマ講師、世界史の青木裕司先生です。よろしくお願いします。

中国近代史ということで、1回からアヘン戦争、名前がすごいから。このあたりで終わってしまいましたけれども、アヘン戦争で結局中国、めちゃくちゃにやられるんですよね。

青木:

めちゃくちゃにやられますね。そしてイギリスによって多くの港を開港させられる。ペリーがやってきて日本も開国させられるじゃないですか。その10数年前に中国はやられちゃうんです。


中島:

そうなんですよね、それを見て日本の志士たち、特に高杉晋作とかも船に乗って中国を見に行くんですよ。

日本が開国させられる前に中国がその前に開国させられたけれども、ちょっと見に行こうやって、あのとき高杉晋作とかは人足同様みたいな状況で見に行ったら、中国がとんでもないことになってるから、帰ってきて攘夷という、「外国を入れるのはどうだ」ということで。


青木:

端折って言っちゃうと、アヘン戦争の中国の敗北なくして明治維新はないですね。あの中国がめちゃくちゃになったという危機感が、日本は今のままで良いのか。徳川幕藩体制のもとでバラバラですよね。日本という国はない。これで大丈夫?絶対大丈夫じゃないよね、じゃあ国家を統一しようと。

中島:

ということで明治維新に


青木:

つながっていくんですよね。


中島:

動いていくという。ここすごい大切なこと。アヘン戦争って日本にもかなり影響を与えたという戦争ですね。

清という国がむちゃくちゃになって、そこから結構いろんな外国が入ってるんですよ、そのあと。


青木:

はい。イギリスのみならずフランスもやってくるし、1856年からまた戦争をやるんですね、イギリスとフランスと清朝。これがまた負けちゃうんですよ。アヘン戦争のあとにまたもうひとつあるんです。そこには書いてなかったけど。

中島:

また戦争やるんですか?


青木:

また負けちゃうんです。イギリスがやった目的はなにかというと、もっと港を開かせたい。と言っても言う事を聞かんだろうから、いろいろ口実をつけて戦争をやるぞと。


中島:

ひどいですね。


青木:

ひどいですよ。綿織物を売りつけるためにね。


中島:

本当にひどい。それでもっともっと開いていくわけですか。


青木:

そうですね。

中島:

だってドイツとかも入るでしょ?


青木:

ドイツはもうちょっとあとになりますね。


中島:

ドイツって青島に入るんですよね。


青木:

それは日清戦争のあと。


中島:

そうですか、ちょっと時系列が


変わりますけれども、青島ビールの青島、ドイツが入るから青島ビールになるんですよ。


青木:

100何十年か前にゼロからビールの生産を始めて、今は世界最大のビールの生産国でしょ、中国。消費も確か世界一ですよ。なんでも世界一なんですよ、あそこ。

中島:

ドイツにはナショナルブランドかないという。地ビールばっかりみんな楽しむから、ナショナルブランドがないんですよね。それが不思議だなと思って。ドイツが入植したところの青島にはナショナルブランドで世界一になっているというね。

それでこの日清戦争。これは明治で言うところの28年。


青木:

そうですね、27、8年ですね。


中島:

これはなんで日本が清と戦争するんですか?


青木:

ざっくり言うと朝鮮の支配権、朝鮮に対する影響力をめぐって日本と清の間で対立が盛り上がるんです。それで戦争になっちゃう。日本ではわりと明治維新後、早い段階から朝鮮半島に目が向くんですね。いろんな理由があるけどひとつはこれから日本で工業を興す。工業を興すためには労働者が必要。労働者をどこから持ってくるか、それは農村にいらっしゃるお百姓さん。そのぶん農業生産量が落ちるかもしれない。労働者に食べさせるための米をどこで確保するか、朝鮮半島かなと。


中島:

ということで日本もいわゆるいろんな世界の覇権争いに参加していくという。


青木:

そうですね、ゆっくりとではありますけどね。日清戦争で大方の予想に反して日本が勝ってしまうと。


中島:

これって大方の予想は清が勝つと思いますよね。


青木:

少なくとも欧米は日本が勝つとは思ってなかったみたいで。


中島:

でもイギリスという国は清と戦争して、清の港を開いて、清にもいろいろ関係が深かったら、イギリスという国が日清戦争で清を応援するみたいなことはなかったんですか?

青木:

なかったですね。当時のイギリスってロシアが一番怖い国なんですよ。ロシアの動向に集中している時期なので、日清戦争そのものに具体的に介入する余裕ってたぶんなかったんじゃないかな。


中島:

そうですか。朝鮮半島をめぐって日本と清が戦争を起こし、あれだけ大きな国と戦争して日本が勝つわけですよね。


青木:

勝ってしまうんですね。装備も日本のほうが近代化が進んでいたということが大きいですよね。


中島:

それでそのあとどうなっていくんですか?


青木:

負けちゃったもんだから中国、欧米列強によってこのあと分割されるんですね。非常に大混乱の状況の中で20世紀を迎えるわけですよ。すると清王朝の満州人に支配されていた漢民族の間に、漢民族を中心とした新しい国家を作ろう、革命を起こそうと、そういう動きが高まっていく。


中島:

戦争に負け続けて、なんなんだということになっていくわけですね。


青木:

300年間満州人に支配されてきたので、漢民族のナショナリズムというのはかなり強まっていたんですね。なおかつ外国に食い物にされる中国は嫌だ。じゃあ中国を他の国にバカにされない近代的国家にしようというので孫文という革命家が登場して、彼を中心に1911年、辛亥革命というのが起こるんです。


中島:

それが辛亥革命なんですね。

青木:

有り体に言っちゃうと満州人の支配を打ち倒す。漢民族を中心とした共和制国家、皇帝陛下がいない共和制国家を目指すと、これが辛亥革命ですね。


中島:

ただこの孫文という人は実は結構日本にもやってきていてという、いろんなものを学んでいく人なんですよね。


青木:

はい。孫文の革命家としての歴史って挫折の連続なんですよ。清朝を打倒するために実は日清戦争の前後あたりから各地で武装蜂起をやるわけ、全部失敗するんですよ。そのために日本に亡命してきて、福岡を経由してね。

中島:

そうなんですよ、福岡も結構匿っている人とか、福岡のいろんなところに行ったら孫文のみたいなのがいっぱいありますよね。


青木:

書もいっぱい残ってますし。福岡を経由して横浜に行って、あそこで英気を養うと。そのときの写真が残ってるんですよね。あれだけ失敗してるのに、孫文って必ず胸をパッと、にこやかな笑みがあるんですよ。これがみんなを惹きつけたらしい。結構大ボラ吹きなところもあったらしいですよね。


中島:

なるほど、革命家というのは基本的には理想を掲げるというところだから、大ボラを吹いて大風呂敷を広げないとなかなかみんながついてこないですよね。


青木:

そうそう。日本語にないけど大人(たいじん)という、大きな人と書いて。


中島:

日本語では大人(おとな)と書くけど、大きな人というんですよね。


青木:

大人(たいじん)ね。その風格を持った人だった。歴史に名前が残っている革命家って人間的魅力が必ずありますもんね。

中島:

それはそうでしょうね。じゃないと人がついていかないですよ。


青木:

ついでに言っちゃうと歴史の教科書、600人ぐらい人名が出てくるんですよ。半分ぐらいが軍人なんですよ。みんな良い人。


中島:

いわゆるキャラクターというか、人を惹きつける魅力があるという人ですよね。


青木:

そうですよね、軍人、軍団だから、配下に向かって「突っ込め!」と言うじゃないですか。そのときに言われた部下たちが「お前の言うことなんか聞けるか」といったら軍隊が成立しないです。それで成功して歴史に名前が残っている人は部下からものすごく尊敬されているんです。みんなそうなんですよ。関係ない話しちゃった。


中島:

いやいや、大丈夫。柳川藩の立花宗茂しかりですよ。いわゆる命を投げ出していけというふうなことを言うわけですから、これはなかなかね。


青木:

「あんたから言われたらしょうがな、おい、みんなで死のうぜ」というね。そういう人ばっかりなんですよ、歴史に名前が残っている軍人。


中島:

横道に逸れました。

孫文が辛亥革命を起こす。ここが日清戦争でこっちが辛亥革命ですね。


青木:

はい。一応成功したわけ。ところが革命後の混乱がいろいろ続いて、袁世凱という男が、これが軍人なんですけども、彼の軍事力でなんとか国の統一が保たれる。

ところが彼が1916年に死んじゃうんですよ。すると彼の部下たちが各地で自立をして中国の支配者の地位をめぐって相争うようになる。


中島:

ここからが大変なんですよ。内戦というのがいかに大変かという話に、今チリリン鳴りましたので、すいません、世界史なのに立花宗茂というすばらしい戦国武将を


青木:

いつかあの人で大河やってほしいですけどね、大河ドラマ。


中島:

僕、今、柳川は大河ドラマを呼ぼうということで。


青木:

あの人ほど波乱万丈な大名っていないでしょ。


中島:

盛り上がってるんですよ。それのもしかしたら大使になるかもしれないです。


青木:なるほどね。

中島:

メンバーの1人になるかもしれないです。


青木:

立花宗茂はおもしろいですよ。


中島:

あの人が関ヶ原に行っていたら関ヶ原、変わっていたんじゃないかというぐらいの、西軍について、お取壊しになって、唯一旧領に復権した。


青木:

この話はね、まあ良いや。


中島:

わかりました、番外編でどこかでやりましょう。番外編でどこかでやります。中国の話に次回、戻します。








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