top of page

2024年は選挙の年(1)台湾総統選挙の結果は?【青木裕司と中島浩二の世界史ch:284】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。

(前回の記事「2024年最初の配信です」はこちら


―中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。


青木:

お願いします。


中島:

まず今年2024年がどんな年なのか。政治スケジュールというところにはなるでしょうけれどもね。


青木:

世界的に注目すべき選挙がいくつかあると。ひとつはもう終わっちゃったんですけども、1月に台湾の総統選挙、これが行われまして。


中島:

頼さんというかたが。


青木:

民進党の候補であった頼清徳さんですかね、このかたが当選されると。2000年以来、2000年に民進党が初めて政権を取ったわけです。それまではずっと国民党。元を辿っていけば蔣介石さんに辿り着くんだけども、国民党のずっと独裁でやってきた。李登輝さんが登場したあたりから民主的な選挙をやりましょうと。2000年の選挙で初めて国民党を破って民進党が政権の座についたわけですね。それから2期8年間民進党政権が続いたわけです。民進党の立場というのは台湾独立。中華人民共和国、いわゆる共産党が支配してる中華人民共和国と我々は別の国であると、ある意味2つの中国というか、そういう議論を展開していったわけですね。

するとそれに対して共産党側が反発をして、いろんな抑圧をかけてくると。ちょっと経済的にも少しやばい状況になるわけですね。それが国民に反映して、2008年の選挙では8年ぶりに国民党が政権を奪還するわけですね、馬英九さんという人だったんですけども。

その国民党政権が2期8年また続くわけです。2008年から2016年。ところがこの8年間の間に台湾と中国大陸との関係がものすごい緊密化して、人・物・金がガンガン動き始めると。台湾の人たち、あるいは大陸の人たちも両岸関係と呼ぶんですけど、両側の岸にいる大陸の共産党と台湾の関係が緊密化して、とにかくこのままいったら台湾って中国いわゆる共産党政権に飲み込まれてしまうんじゃないかと。


中島:

政治的に飲み込まれてしまうと自分たちの自由がなくなってしまうんじゃないかというところの人たちもいるんですよね。


青木:

そうですね。台湾に住んでいる人たちが全員独立派じゃないんですよね。


中島:

これ難しいことで、本当なんですよ。もともと台湾にいる南の人たちとか、それから蔣介石が入ってきたときに一緒に来た人たちとか、それからもうずいぶんと時代も経ったので新しい考えの人たちみたいな、いろんな人たちの考え方があるんですよね。


青木:

なんですけども、今の若い人たちを中心に自分たちは台湾人だと、そういった認識がすごく強いんですね。それまではたとえばおっしゃったように中国大陸から蔣介石さんと一緒にやってきた人たちは外省人、台湾の人たちから言うとよそ者。自分たちは本省人、もともとここに生まれ住んできたと。そういう区別みたいなものがあったんですけども、時代もだいぶ経っちゃったので、台湾に住んでいる特に若い人たちの間では「もうよそ者もなにもないよ。俺たち台湾人なんだ」と。その台湾人という認識を持っている特に若い人たちの中でも学生さんたちが中国大陸との関係性が緊密になりすぎるとさっき言ったように飲み込まれてしまうんじゃないかというのでひまわり学生運動というのをやって、台湾の国会、議会を占拠する。

しかもそれが台湾の人たちの多くの支持を集めるという中で、2016年の総統選挙では民進党が政権を奪還して、蔡英文さんという女性が総統になるわけです。彼女が2期8年やってきた。

これまで8年間ずつ民進党と国民党が政権のバトンタッチをしてきて、今回どうなるかと。そしたら第3の政党、民衆党というのが出てきて、柯文哲さんですかね、このかたが総統選挙に打って出ると。もともとは民進党が優勢なんじゃないかと言われていたけども、野党第一党の国民党と、新たに登場した第三党の民衆党、これが組めば民進党が負けるんじゃないかという議論もあったので、国民党と民衆党の間でいわゆる候補一本化というのがかなり進められていたんですよね。そこにはどうも中国共産党の画策も一部あったと。


中島:

結局これは今の時代、自国の選挙が他国に干渉を受けないというのがなかなか難しくなりつつあるなという。


青木:

おっしゃる通りで、それこそ2016年のアメリカ大統領選挙のときもそうだったし、SNSがこれだけ国境線を超えて世界中をつなげてしまったと、選挙介入も簡単になっちゃったんですね。


中島:

結局昔みたいにスパイみたいな人が送り込まれて、実際は今もスパイみたいな人は送り込まれてるんでしょうけど、SNSで簡単に世論を動かせるような今は時代なので。それと結局ひとつは台湾は半導体という大きな経済的なことがあるので、それを中国が握るのか、それともまだ、民主的なという言い方をして良いのかどうかわかりませんけど、アメリカ側の自由な感じのという。これはアメリカにとっても実は中国にとってもひとつ大きな。


青木:

めちゃくちゃ大きな問題ですよ。半導体ってある意味世界の産業の生命線でしょ。それを台湾が握っているというのは、ちょっと語弊があるかもしれないけどおもしろいところでね。


中島:

だから台湾というのが、本当になにもない島だったらまったくそんなこと、どこも言わないという、そこですよね。


青木:

ただ一方で台湾も、これは民進党であろうとも民衆党であろうとも国民党であろうともみんなそうなんだけど、中国大陸との関係を断たれたら経済的にやっていけないですよね。実際にそれは共産党側もそうで、中国にとって一番大きな輸入元、これ台湾なんですよね。


中島:

台湾なんですね。


青木:

台湾が一番です。輸出はいろいろあるんだけども、どこから一番多く輸入してるかといったら台湾なんですよ。そこを武力侵攻してたとえば半導体の輸入が滞ってしまう、これはたぶん武力侵攻して台湾を支配するよりも大きなダメージが中国大陸にも及んでくると、そういう冷静な判断はたぶんしてるんじゃないかと僕は思うんですね。ただ、習近平さんを筆頭に「台湾は中国独自の領土である」といって武力侵攻も厭わない、声高に言ってるということはやる気はないのかなと逆に僕は思ってはいるんですけども。なんだけど、危機はないわけじゃないわけですよ。それはウクライナにプーチンが侵攻したので可能性はゼロとは言えない。ということは与党の民進党もわかってるので、いたずらに共産党政権を刺激するようなことは今回は言わなかったんですよね。台湾の人たちだってなにを望んでいるかというと、独立でもなんでもないです。独立を訴える人はいるけども。


中島:

今の状態が続くことを望んでるでしょ。


青木:

現状維持。私の好きな言葉ですけどね。


中島:

今、中国が経済的にね失速してるので、それがどう出るかというところがポイントなのかなというふうに思いますね。


青木:

台湾侵攻の可能性についても、少なくとも今の中国の共産党の支配体制、いわゆる国家主席として習近平さんが大きな権限を持っているのは間違いない。しかし一応チャイナセブンと言われる合議制で政権が運営されているという点は、事実上プーチンの独裁体制のロシアとはちょっと違うぞと。実際に中国って毛沢東の個人独裁で国がめちゃくちゃになったのでね。


中島:

その経験はちゃんと学んでいるんじゃないかという。


青木:

と思うんですよね。


中島:

希望的観測ではありますけどもね、どれも。


青木:

習近平という国家主席自身が文化大革命でひどい目に遭っているので、彼自身が、彼の家族も含めて。だからそこらへんは最終的には冷静な判断はするんじゃないかというのが僕の希望的観測ではあります。


中島:

そういう重要なことを1人で決められるって、そんな人、歴史上はいたんですよね。


青木:

いたんですよ。特に国が危機になっていくと話し合いする余裕がなくなっちゃうので、ついていく国民がこの人に託そうと、最悪の例がヒトラーですよね。今はそういう独裁的な指導者というのが世界中で増えつつあるのは間違いないので。


中島:

このチャンネルでもやりましたけれども、選挙で民主主義でというと、事がなかなか、うまく進んでいくのに時間がかかる。少ない人数でわりと「こうだ」という人がいたりすると、この変化の激しい時代には合っているというふうに選択している国が多いということですよね。


青木:

そうなんですよね。ただ、そういうときこそ議論を尽くさないとダメ。そのことは20世紀の歴史が嫌というほど我々に示しているはずなんですよね。なんだけども、目の前の危機に対処したときに手っ取り早い方法を、人類というのは、度重なる失敗にも関わらず選択してきた歴史があるんですよ。そこがつらいところで、同じ失敗をずっと繰り返してきてるんですよ。


中島:

このチャンネルでも少しはそれから学んでやっていかなきゃいけないねということで立ち上げています。2024年のスケジュールをちょっと何回かやります。









閲覧数:1回0件のコメント
bottom of page