『江戸生艶気樺焼』を読む2:古文書・くずし字勉強会日記
- 順大 古川
- 9月17日
- 読了時間: 8分
更新日:10月11日
まだ、生徒は私(のぶた)一人です。
Youtubeの配信で、大河ドラマ「べらぼう」に出てきた『江戸生艶気樺焼』を読んでいます。その配信のまとめと、備忘録、配信の後に気づいたことや調べたことなどを書いていきたいと思います。
『江戸生艶気樺焼』のテキストは早稲田大学本です
勉強会で見比べている活字本は、近代日本文学大系第12巻です。
今は見開き2ページ目を読んでいます。1ページ目に関しては、後日アップします。

大河ドラマの公式サイトによると、このページのあらすじは以下のようになります。
艶二郎は、北里喜之助(きたりきのすけ)と悪井志案(わるいしあん)という太鼓医者(※医者を名乗りつつ、女郎屋で客の機嫌をとって場を盛り上げ世を渡る医者)の悪友とともに女にモテるための方法を考える。喜之助は流行歌『めりやす』を、志案は女郎への恋文の作法を艶二郎に教え込む。
「めりやす」というのは、「長唄の一分類および義太夫節の旋律の一種。(1)色模様、述懐、髪梳き、愁嘆などの場面で、せりふがないために起こる舞台上の欠陥を補いながら、舞台効果を一段と高めるためにうたわれる抒情的な短篇の長唄」(新版歌舞伎事典)です。
ここ3回ぐらいの配信のまとめと感想などを書いていきます。

勉強会(一人)で読んだ成果は、
ゑん二郎はきん
じよのどうらく
むすこきたり
きのすけ
わるいしあん
といふたい
こいしや
な◯◯◯
◯◯
やす
く
していよいようわきな
ことを◯◯◯◯する
です。漢字にすると、
艶二郎は近所の道楽息子北里喜之助、悪井志案といふ太鼓医者な◯◯◯(◯◯?)
◯◯やすくして、いよいよ浮気なことを◯◯◯する。
です。
今気づいたのですが、「浮気なことを◯◯◯する」は「浮気なことをくふうする」ですね。たぶん。

次(02)は、
まづめりやすといふやつが
うはきにするやつさこいつを
しらねばなりやせ(?)ん
およそひとのしつた
口ちかひめりやすのぶん
小ぐちのところを申やしやう
まづきゝすむけんさかづきときさけ
まづ、「めりやす」といふやつが浮気にするやつさ。こいつを知らねばなりやせ(?)ん。
およそ、人の知った口近ひ「めりやす」の分、小口のところを申やしゃう。
まづ、「きゝ゛す」「無間」「さかづき」「時酒」
「せ(?)」の部分が自信がないのですが、活字本で「せ」となっていたので従います。
2025/09/16の配信では、「きゝ゛す」「無間」まで調べて、「めりやす」に分類される長唄の曲名だということが分かりました。
【追記:2025/09/19】
昨日の復習です。

「めりやす」という唄のジャンルに属する曲名がひたすら羅列されている部分です。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
ゆかりの月 三つのとり 三つぶとん
ふたつもん 四つのそて かぶろだち
おきのいし はなのくも あさがほ
六かせん ふ?て?(しらいと) ◯んしやう
でした。漢字にすると、
ゆかりの月、三つのとり、三つぶとん
二つ紋、四つの袖、禿だち
沖の石、花の雲、朝顔
六歌仙、筆?(白糸???)、?んしょう
です。
最後の行が厳しいです。
「ふて」の部分は、活字本(近代日本文学大系第12巻)と異なっており、字形的にもまったく自信がないです。
最後の「〇〇しやう」も、〇〇が一文字なのか二文字なのかが分かりませんでした。活字本にないもので。うーん。
←「水」かも(2025/09/22)
【追記:2025/09/23】
昨日の復習です。

「めりやす」の曲名の羅列が続きます。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
くろ◯◯なりひ◯やすひで???
しらいとひとりしんぢう
ゆびきりいれぼくろきししゃう
むかしぐさまんねんそう
十三がね水かゝ゛みいなふね
でした。漢字にすると、
一行目はまったく分かりません。
白糸・独り心中
指切り・入れ黒子・起請
昔草・万年草
十三鐘・水鏡・稲船
です。
一行目が活字本にはない部分だったので、手におえませんでした。
二行目以降は活字本にあったので、字形を確認できました。
三行目は全部心中用語でした。
指切りは、女郎が自分の指を切って送りつけることで、入れ黒子は(心中の)約束の印の入墨のことで、起請は(心中の)約束書です。…こわっ。
昔草と万年草は、普通に植物の名前が曲名になったもののようです。
十三鐘は、奈良のお寺の名物で、朝と夕の時刻を知らせる鐘の音です。水鏡は水に映すこと。稲船は、ここでは最上川の船のことで、謡曲のテーマの一つでした。
【追記:2025/09/24】
昨日の復習です。

「めりやす」の曲名の羅列が続きます。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
まつよひわかれ
なごりのもみぢかりまくら
なつごろもはるのよあきのよ
ますかゝ゛みよはのかねおぼろ月
でした。漢字にすると、
待宵・別れ
名残の紅葉・仮枕
夏衣・春の夜・秋の夜
増鏡・夜半の鐘・朧月
別れの「わ」は「王」のくずし字です。
紅葉の「も」は、今の「も」と同じく「毛」のくずし字ですが、慣れてないのでキツイです。次の行の「夏衣」の「も」と比較してみてください。
「仮枕」は旅先で寝ることです。
「春の夜」の「は」は「者」のくずし字です。
「秋の夜」の「あ」と「お」の区別が
難しい。
「夜半の鐘」の「は」、先ほどと異なり「半」のくずし字です。「ね」は先日も出てきた「年」のくずし字です。
「朧月」の「お」は今と同じく「於」のくずし字ですが、慣れてないので「ゆ」「や」との区別が難しいです。「ぼ」は「本」のくずし字と考えましたが、自信ないです。
【追記:2025/09/26】
昨日の復習です。

「めりやす」の曲名の羅列が続きます。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
はるがすみみだれどりおもひ川
おんなさんぐうげんぷくまんぎく
九月がやよしのぐさなつの月
あけがらすむらがらすあふぎ
でした。漢字にすると、
春霞・乱れ鳥・思ひ川
女参宮・元服・万菊
九月がや・吉野草・夏の月
明烏・群烏・扇
です。
思ひ川は、川のように約束が途切れないこと。
万菊は歌舞伎役者などの名前だと思います。何人かいます。
九月がやは、さっぱり分かりませんでした。
むらがらすは「村烏」かと思ったら「群烏」でしたねえ。
【追記:2025/10/03】
月曜日と昨日の復習です。

「めりやす」の曲名の羅列が続きます。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
はなのかはなのゑんのこるあつさ
さしぐしあひのやまとけずそめいと
めいどのとりこいざくらあきの七くさ
ふたつもじひだりもじわがこころ
ゑとゆかたたゝみざん
ひとつみぞ
こいばなし
まだいつくらも
あれどちよつと
したところか(?)
このくらいな
ものさア
でした。漢字にすると、
花の香・花の宴・残る梓
挿櫛・相の山・とけず・染糸
冥土の鳥・恋桜・秋の七草
二つ文字・左文字・我が心
江戸浴衣・畳算
一つ溝(??)
恋話
まだい(?)くらもあれど、ちょっとした所か(?)このくらいなものさ ア
です。
ついに、曲名の羅列が終わりました!
挿櫛は女性が頭に飾りとして挿す櫛のことです。
冥土の鳥はホトトギスのことです。
二つ文字は「こ」のことです。徒然草にも出てきます。
左文字はなんのことか分かりませんでした。
畳算は、女郎が畳の上に櫛をばらまいてする占いのことです。
ひとつみぞってなんでしょうね。
これでやっとストーリーが進みます。長かった。。。
【追記:2025/10/08】
月曜日の復習です。

前回、曲名の羅列が終わりました。
勉強会(一人)で読んだ成果は、
口がすくなつた
ふみのもんくには(も?)
だいぶでんしゆの
あることさふうじ
めをつけぬと
ゑんがきれると
申しやすふみの
す(ゑに)おさな(な?)を
かくよふになると
むづかしいね
でした。漢字にすると、
口が酸くなった。
文の文句には(も?)大分伝授のあることさ。
封じ目を付けぬと、縁が切れると申しやす。
文の末に幼名を書くようになると、難しいね。
です。
「すくなった」は、活字本はひらがなでしたが、「しゃべりすぎて、口が酸っぱくなった」という意味だと思います。
「文句には(も?)」の最後は活字本は「も」だったのですが、「は」に見えました。
「封じ目」とは封筒を閉じたところにつける「〆」マークのことです。
ここまでは喜之助が言いたいことは分かるのですが、最後の文末に幼名(親しみを込めた呼び方??)を書くと難しいという意味が想像できません。書いたほうが仲がいいのか?
火曜日の復習です。

勉強会(一人)で読んだ成果は、
とんでもなく
うきなの
◯◯しう◯
ありそうな
ものさ
でした。漢字にすると、
とんでもなく浮名の〇〇しう(?)
ありそうなものさ
です。
勉強会のときは一行目を「しんでもな◯」と読みましたが、ここは「とんでもなく」ですね。
2~3行目は読めそうで読めてません。3行目と4行目の間には一文字あるのでしょうか?
【追記:2025/10/10】
木曜日の復習です。


勉強会(一人)で読んだ成果は、
ひつさきめに
くちべにの
ついてる
のハ
いつでも
ぢものゝ
ふみでハ
ねへのさ
どねへに
しみでも
みみの
わきに
まくら
たこの
あるので
しやうばい
あがりハ
しきに
しれやす
でした。漢字にすると、
引き裂き目に口紅のついてるのは、いつでも地者の文ではねえのさ。どねへに地味でも、耳の脇に枕ダコのあるので商売あがりは時期に知れやす。
です。
「引き裂き目」は封筒の開ける部分のことです。
「地者」は素人、一般人のことです。
「どねへに」は「どんなに」の訛りです。
悪友の教えで、遊郭の女性の見分け方を伝授している場面ですね。



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