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執筆者の写真順大 古川

三条天皇の視点からみた状況(史実で楽しむ 光る君へ解説 第41 話「揺らぎ」)

小学生 歴史・地理クラブ #日本史 #習い事 #小学生 #中学受験

【目次】


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歴史を知れば、大河ドラマの演出がもっと楽しくなる

史実と異なる演出にこそ、ドラマの面白さがあるのではないでしょうか

こんにちは のぶたです

今日は、41話「揺らぎ」を解説していきます

ドラマでは、ついに紫式部が『紫式部日記』で清少納言の悪口を言っていたエピソードが出てきました。

ドラマの最初の方では、まひろとききょうは仲が良かったし、

最近の展開では悪口を言いそうなのはききょう(清少納言)のほうだったので、どうなるのかと思ったら、

あのようにして"紫式部が清少納言の悪口言っていたエピソード“につなげるんですね。おもしろかったです。

今日は、三条天皇から見た世界に特に注目したいです。

三条天皇が一貫して続けてきた、そして続けている努力とはなんなのでしょうか。

ポイントは、三条天皇の婚姻関係にあります。




【娍子補足】

前回と前々回に、道長の娘の妍子の視点から娍子を見たときの状況などをお話したのですが、

今回のドラマを見たり、また改めて本を読んだりして、修正したり考えなおしたりしたことを先にお話します。

これまでに、娍子と居貞親王(今日からは三条天皇と呼びますが)の関係は盤石で、

妍子はいまさら勝負にならないといったことを言いました。



しかし、これは三条天皇の愛情という面では盤石なんですが、政治的には、、、

ドラマであったように、私が思っていたよりも娍子の立場は弱いようです。すみませんでした。

この点も、これからお話する、三条天皇側見るとけっこう分かりやすいかと思います。



【三条天皇から見た政治状況】

婚姻関係を中心に、三条天皇が即位したときに置かれていた状況を考えてみましょう。

少し回り道になりますが、三条天皇の過去から話し始める必要があります。


まず、三条天皇は冷泉天皇と兼家の娘超子との間の子です。



超子はドラマには出てきませんでしたが、道長兄弟の長女です。詮子姉さんよりもお姉さんなんです。

一条天皇が、円融天皇と兼家の娘詮子との間の子だったということを思い出してください。

こうしてみると、道長と三条天皇との関係は、道長と一条天皇との関係と同じなんです。

なので、三条天皇も一条天皇も、二人ともまだ道長も住んでいた東三条殿、

つまり兼家ファミリーのお家で二人とも生まれたんです。

まひろと道長が、「三郎~」「姫~」とかいって、きゃっきゃうふふしていたころです。



しかし、三条天皇は、即位までに道長の家系との婚姻関係を構築することに、

結果的にですが、失敗し続けました。

最初、約6歳のころに超子ママを亡くしました。突然死だったようです。

これは、一条天皇の背後にいた詮子や、後の後一条天皇背後で後ろ盾となる彰子のような、

頼りになる国母となるべき存在を、三条天皇は幼くして失っていたということを意味します。

三条天皇に欠けているもの、その一は、強力な国母(強力な政治勢力出身の母親)です。


三条天皇は、約11歳で最初の結婚をします。

相手は政治家序列一位に昇りつめた、摂政兼家の娘の綏子(約13歳)です。

しかし、二人とも幼すぎたためか別居が続きます。しかも、結婚して3年後に兼家が亡くなります。

ドラマでは、月を見上げたら月が闇になっていたアレです。題名は「星堕ちてなお」でしたっけ?

これは、兼家を三条天皇のおじいちゃんという面から見れば、

後一条天皇にとっての道長のような、頼りになる外祖父を三条天皇は幼くして失っていた



ということを意味します。

兼家を三条天皇の義父さんという面から見れば、一条天皇にとっての道長を失ったということです。

失いすぎでしょ。これ。



次に、約17歳のときに、約21歳の娍子と結婚します。

娍子は、朝廷の序列が七番目で大納言という、ぱっとしない藤原済時約50歳の娘です。

この済時が長生きして大臣に到達していれば、、、おっと、先走りましたね。すみません。

娍子は三条天皇に愛され、結婚の5ヶ月後には懐妊して、やがて敦明親王を生みます。

その後、娍子は四男二女を生むことになります。愛されていますね。娍子ちゃん。



しかし、娍子はしょせん大納言の娘。

親が大臣でなく大納言だと、娍子は中宮・皇后どころか女御になる資格もありません。

ドラマで、三条天皇が「娍子を中宮に」と言ったときに、道長たちが困惑したのはこのためです。

そこで、今をときめく政界一位、関白道隆が娘の原子を三条天皇に嫁がせてきます。

原子は定子の妹です。

ところが、道隆はその3ヶ月後にもう亡くなります。ドラマでは、「伊周を関白に~」のアレですね。

例によって比較してみると、一条天皇が彰子と結婚したらすぐ道長を失ったようなものです。

失いますねえ。三条天皇。



しかも、道隆が死んだときに疫病が猛威をふるっていて、道兼も亡くなったことを覚えていますか?

このとき、娍子の父済時もこの疫病で亡くなっているんです。

これで、三条天皇に愛されているとはいえ、娍子の後ろ盾もボロッボロです。

娍子にとって唯一の救いは、ライバルの綏子も原子も後ろ盾を失ったという点ぐらいです。

三条天皇からすれば、自分の後ろ盾も弱いうえに、

どの妻が子を生んでも、誰にも後ろ盾がいないので、後が相当にキツいということになってしまいました。

三条天皇に欠けているもの、その二は、後ろ盾となって政界を動かせる男性政治家です。


さらにここからです、

綏子が源頼定と密通しやがったことは置いとくとしても、、、置いとくのか!?まあまあまあ、、、

三条天皇が約26歳のころ、故道隆の娘原子(約21歳)が急死します。

その2年後に、故兼家の娘、密通の綏子も約30歳で亡くなります。

こうして、三条天皇の側には愛している娍子ちゃんだけが残りました。

(なお、正体不明の盛子という人もいるのですが、あまりに正体不明なので置いておきます)


確認しておきますが、まだ三条天皇は即位していないので、ほんとうは居貞親王ですよ。

さあ、長々と婚姻関係を見てきたことによって、三条天皇がいずれ即位するときの課題が見えてきました。

それは、25年東宮を務めてきて壮年に入っているにも関わらず、そして婚姻努力もしてきたにも関わらず、

後ろ盾となる政治勢力がないということです。


そうなると、これから三条天皇が後ろ盾にできそうな勢力は2つに絞られます。

一つが、道長とその家系である九条流で、もう一つが、ロバート実資や公任の小野宮流です。



まだ居貞親王ですが、三条天皇はまずはこれまでの路線を継続、すなわち政界の一位と繋がろうとします。

それが、道長の娘キラキラ妍子との結婚なんです。

だからこそ、ドラマ41話より少し先の話ですが、

三条天皇は19年来の愛する妻娍子がいても、キラキラ妍子のもとに通いまくることになります。

愛されていることは分かっている娍子としては、とてもツラいことです。



一方で、いよいよ即位した、即位したけど後ろ盾が弱い三条天皇は、ドラマでもあったように、

ロバート実資や公任の小野宮流を取り込もうともするわけです。

両方の勢力に保険をかけるという意味合いもあり、二つの勢力を分断するという策でもあるわけです。


というわけで、三条天皇が即位したときに見えた世界は、この年にして周りに人がいないというものです。

そして、三条天皇が長期政権となるためには、道長の九条流かロバート実資・公任の小野宮流の

どちらか勝利するほうを見極めて強い関係を構築するか、もしくは、

道長九条流とロバート小野宮流をうまくコントロールして競合させる必要があります。

次回以降、成功するやせざるや。楽しみですね。


これからも大河ドラマ話や、日本史の話でもりあがっていくので

ぜひ高評価とチャンネル登録をお願いします

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また、私は学生を対象とした歴史教室をオンラインで開いていますので、

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ありがとうございました


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