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国母:東三条院詮子 【史実で楽しむ 光る君へ解説 ep 19「岐路」】



今回は、エピソード19「岐路」を楽しむ解説、その1 うさー

ついに道長政権が成立したうさね

今回は、道長政権樹立の最大功績者とも言える詮子姉さんと「国母」について解説するうさ

なお、次回は、関白と内覧の違いについてと、ドラマの最期に再登場した藤原穆子(闇覚醒倫子ちゃんのママ)あたりを解説するうさ


【動画版はこちら】


新たに摂政関白を任命するときに大きな力を発揮した詮子姉さんうさけど

詮子姉さんのような天皇のママを「国母といううさ


まず、995年までの詮子姉さん(33歳・およその満年齢・以下同じ)について復習しておくうさ

詮子姉さんは、パパ右大臣兼家の策謀で円融天皇に入内したけど

円融天皇に愛されず、苦しんでいたうさ



このころの詮子姉さんは20歳そこそこだったので、そうとうキツかったと思ううさ

そして、懐仁親王(一条天皇)を生んだあとは東三条殿(兼家ファミリーのおうち)に里帰りして

東三条殿で懐仁親王を育てたうさ

つまり、夫の円融天皇とは別居状態だったうさ


その後、円融天皇がイヤイヤ花山天皇に譲位して、懐仁親王が東宮になったうさ

この時点で、詮子姉さんは天皇のママにリーチがかかったうさ


愛されすぎ女子忯子ちゃんラブな花山天皇は、道兼たちに騙されて2年も経たずに譲位したうさ

こうして、986年にわずか6歳の懐仁親王が践祚して、一条天皇となったうさ

これと同時に、一条天皇を生んだ詮子姉さんが、天皇ママたる国母となったという経緯だったうさ


摂関期の国母は、基本的に息子の天皇と同居して、天皇を日常的に後見する存在うさ

そんで、天皇や摂関とともに、そしてときには天皇や摂関以上に国政を動かしていたうさ

ロバート実資は、国母について「母后また朝事を専らにす」(『小右記』長徳三年七月五日条)と評価しているうさ


ドラマに戻ると、その後は、一条天皇と定子ちゃんのおねショタっぷりにキレまくって煙たがれたり

道隆によって内裏より遠ざけられたりと、詮子姉さんはドラマの裏でけっこう苦労をしてきたうさ

史実でも、詮子姉さんは内裏に住み続けず、内裏の外の職曹子に移るうさ

この職曹子は、今後おねショタ定子ちゃんに関連して再登場するのでチェックしておくうさ

ポイントは、職曹子は内裏の外にあるというところうさ




このころから詮子姉さん(と道長も、あと一条天皇も)は病気がちで

991年に病気になったことをきっかけに、出家したうさ

ドラマで詮子姉さんが薄い紫系の衣を身につけるようになったのは、出家しているからうさ

ちなみに、ドラマでは出家した女性の寧子、詮子、穆子はみんな違う格好しているからおもしろいうさ


そして出家した後、詮子姉さんはなんと、日本史上初の女院号を受けたうさ

その名も「東三条院」うさ

女院は太上天皇に準じるということなので

ぶっちゃけ、女院とは、女上皇という意味うさ


ちなみに、「東三条院」というのは父親の兼家が存命のときにファミリーで住んでいた邸宅で

女院になったころから、詮子姉さんは実は土御門殿

すなわち、弟道長が結婚してころがりこんだ源倫子ちゃん家に同居しているうさ

この点については、今回の後半で闇覚醒倫子ちゃんと、奇貨おくべし穆子母さんが

穆子「女院さまをこの屋敷で引き受けたのが大当たり」

倫子「私も一度は『ええ~』と思いましたけど、、、」と話しているシーンにも反映されているうさ



そう考えると、エピソード18「うつろい」で道兼が詮子・道長に呼びつけられた場所は

弟道長と倫子の愛の巣なうえ、道兼を嫌っている詮子姉さんまでが住んでいる

ちょーぜつアウェイな魔窟の土御門殿に呼びつけられたということうさ

このとき、詮子姉さんが、道兼を関白に推すことを宣言してたうさ

ちなみに、『栄花物語』も詮子姉さんが強く道兼を摂関に強く推したと言っているうさ


極楽浄土になんか行かせてもらえない罪を背負った道兼が、疫病であっという間に没したあと

ドラマでは、詮子姉さんが一条天皇の寝室に凸って

「じゃあ、母を捨てるのね! ヨメの定子を選ぶのね!」と

論理が飛躍しまくったメンヘラテンプレ姑トークを一条天皇(15歳)に叩きつけたうさ

この話を、夜中に叩き起こされた一条天皇は、冠や烏帽子もつけることなく聞かされたうさよ

今で言うなら、中学生がパンイチで寝てたら、夜中にママが凸ってきて

パンイチのまま正座させられて「彼女と別れろ」と説教⁉️喰らい始めたようなもんうさ

少しでも「彼女好きだし、、」とかボソッと言おうものなら

「じゃあ、ママにお家を出ていけって言うのね! 私はこんなにあなたのためを思って言ってるのに」的に泣かれるうさよ

泣きたいのは、夜中に叩き起こされてパンイチでメンヘラママトーク聞かされているこっちうさよ


なお、この凸話は、『大鏡』に「夜の御殿に入らせたまひて、泣く泣く申させたま」とあるうさ


この後も、詮子姉さんは国政に関わり続けるので

そのへんのエピソードは、ドラマでの時間が進んだときに、随時紹介していくうさ


「国母」のまとめ うさ

国母は天皇の生母うさ

摂関政治の時代に、国母は積極的に国政に関与していて、大きな政治的発言権を持っていたうさ

ロバート実資の『小右記』には「母后また朝事を専らにす」とあるうさ


さて、少し未来の話をするうさ

詮子姉さんのあと、ぼんやり娘彰子ちゃんもいずれは国母になるうさ

さらに、彰子ちゃんは史上二人目の女院にもなるうさ

その話は、ドラマで実際にぼんやり娘彰子ちゃんが成長して覚醒したときにお話したいうさ

楽しみうさね


次回は、関白と内覧の違いについてと、ドラマの最期に再登場した藤原穆子(闇覚醒倫子ちゃんのママ)あたりを解説するうさ

これからも大河ドラマ話や、日本史の話でもりあがっていくので

ぜひ高評価とチャンネル登録をお願いしますうさ

よろしくうさー


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