【目次】
藤原宣孝(ふじわらののぶたか):佐々木蔵之介
まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。
まひろより20歳程度は年上の陽キャです。ひろのまたいとこにあたります。
金峯山詣に空気を読まないハデな格好をしていって、清少納言にディスられた話が有名です。
最後に見せた顔芸二連発は、吉高由里子さんによるぶっつけ本番の無茶振りだったそうです。
キャスト紹介:佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
1968年生まれの俳優です。大河ドラマでは『風林火山』(真田幸隆役)、『麒麟がくる』(羽柴秀吉役)に出演しています。
4~11話:花山天皇期(984~986年)ごろの宣孝
と、ドラマの初期に予言していましたが、みごとに予想をハズしました。
賀茂臨時祭のときに馬を牽く仕事を忘れて怒られたり、祈雨の使者として丹生社に行ったときに、地元人に乱暴されてクビになったりしたのはこのころです。
13回「進むべき道」(990年)ごろの宣孝
3月の末、宣孝は息子の隆光とともに金峯山詣を行いました。金峰山は奈良県の南のほうにある、蔵王権現の霊地です。
当時、貴族社会の信仰を集めていました。道長も金峯山詣をしていて、それに関わる有名なエピソードがいくつかあるので、いずれドラマでも取り扱われると思います。
金峰山詣は、三ヶ月の精進潔斎をしてから、質素な身なりで行うべきものでした。しかし、宣孝は「キレイめカジュアルなら良くね?」って言って、紫のとても濃い指貫に白い狩襖、山吹色のひどく大げさなハデな色の衣などを着て金峯山に詣でました。宣孝の息子の隆光も、青色の狩襖に紅の袿、ハデなまだら模様の水干という袴を着て参詣しました。
その結果、みんなから「無いわー」って言われて、宣孝はウワサの人になりました。このウワサは清少納言(ききょう)の耳にも届いていて、『枕草子』115段「あはれなるもの」に、この宣孝親子の金峰山詣の話が書かれています。
一説によると、清少納言が『枕草子』で宣孝をイジったから、紫式部は『紫式部日記』に清少納言の悪口を書いたんじゃね?って言われています。
金峯山詣でに親子でドハデ下品コーデで行くところを見ても、宣孝の息子隆光は、パパ宣孝と似たチャラモテ下品男だったことがうかがえます。
このように宣孝と隆光が似たもの親子だったってことは、、、まひろの将来を大切に思っている宣孝は、優等生キャラのまひろを、自分のようなチャラモテ下品な陽キャ浮気野郎なんかとはぜったいに結婚させたくないと思ってるってことうさね
ふふふ。。。
14回「星落ちてなお」(990年)ごろの宣孝
前回の金峰山詣で、”TPOをわきまえない下品でハデなオレンジ野郎”の名をほしいままにした宣孝ですが、なんと半年もしないうちに筑前守兼大宰少弐に任命されます。ロバート実資の日記『小右記』によると、宣孝が筑前守に任命されたのは8月29日でした。
宣孝が筑前守に任命された経緯がなかなかにすごくて、
もともと、藤原知章という人が筑前守に任命されて九州に行ってたんですが、なんと、知章の子どもや家人たちが30人以上も病死してしまいました。
それで、知章が辞退したので、急遽宣孝が筑前守に任命されたのでした。
ロバート実資は、日記で「宣孝が国司になるのは、まだ早いんじゃね? 検非違使の任期もつとめ終わってないのに、なんで宣孝が筑前守に任命されてんだ!?」っていぶかしんでいます。
宣孝が言っていたように、きっと「金峯山詣のご利益」に違いありません。
15~18回「岐路」(990~995年)ごろの宣孝
筑前で国司をつとめつつ、大宰少弐を兼任します。
この間に、従五位上に昇進しています。
ドラマでは、第18回に帰京して、「受領の旨味を吸い尽くした」と言っていました。
とても”充実した”九州生活だったのでしょう。
19~24回「忘れえぬ人」(995~997年)ごろの宣孝
実際の宣孝は、九州から帰ってきたころから紫式部を口説き始めたようです。
紫式部が越前国に行っても、京都から越前に恋文を送り続けました。ドラマでは、直接越前に乗り込んでましたね。
25回「決意」(998年)ごろの宣孝
このころは従五位上右衛門佐で、8月27日に山城守にも任命されました。
今回の後半は、恋愛勢にとってはたまらない回になりました。
日本史勢の私的には、ドラマのナレーターが、まひろと宣孝の結婚の翌日が日食と言っていたので、実際に日食だった長徳四年(998年)10月1日から結婚の日取りを逆算した結果、、、ドラマではまひろと宣孝の結婚は 9月29日、、、肉の日! と盛り上がっていまいた。
なお、まひろ(ドラマでは約28歳)と結婚したときには、すでに少なくとも3人の女性との間に4人の息子がいました。宣孝(40代半ば)の子のなかでも、隆光などはまひろと同じくらいの年齢だと考えられています。
26回「いけにえの姫」(998~999年)ごろの宣孝
さっそく宣孝が浮気しまくって、まひろとのケンカが始まります。
恋愛力最低レベルの私でさえ、まひろからの手紙を他の娘に見せちゃいかんだろ!ってことくらいは分かります。
27回「宿縁の命」(999年)ごろの宣孝
8月、宣孝が大和国に持っている荘園・田中荘の悪人が、良米使を殺害して逃走するという事件がおきています。宣孝が責任などを問われた形跡は残されていません。
11月11日、賀茂臨時祭の神楽人長を務めて行成に「甚妙也」と絶賛されています。
11月17日に宇佐使として出発したあとの年末、宣孝が仕事で宇佐神宮に出張している間に、娘の賢子が生まれます。
その経緯は、ドラマでは、You are shock!です。奥様方に燃料投下しまくりです。
28回「一帝二后」(1000年)ごろの宣孝
ドラマだと、生まれて2ヶ月経ったころに宣孝が帰京して、宣孝は娘に「賢子」と名付けました。
ドラマで帰京した宣孝が道長に馬二匹を贈っていましたが、この件は史料にも残っています。2月3日のことでした。
7月27日には、相撲節会の召合に武官として列席して、10月15日にの殿上音楽にも出仕しました。
この年の夏ごろ、実際の宣孝・紫式部夫婦については、宣孝の足は遠のいてケンカがちであったと言われています。
29回「母として」(1001年)ごろの宣孝
ドラマでは、まひろと賢子のためにがんばる姿勢を見せていましたが、山城守として赴任していたときに死去してしまいました。まひろは、その原因を教えてはもらえませんでした。
『尊卑分脈』によれば、宣孝が亡くなった日は4月25日です。死因は不明なのですが、この年の2月5日に「痔病」でお仕事を休んでいます。現在でいう「痔」なら、直接の死因になることは考えにくいので、おちりから血がでるような内臓の病気だった可能性もあります。
解説:実際の藤原宣孝
藤原宣孝は、藤原為輔と藤原守義の娘の子どもです。まひろのまたいとこにあたります。
ドラマでは筑前守になって帰ってきたときに、「受領の旨味を吸い尽くした」とドヤっていましたが、実は、その前にも備後・周防・山城の受領を歴任しています。為時とは大違いですね。
利権の塊である受領に何度もなっているので、宣孝は羽振りがよかったと思われ、ドラマでは、まひろと結婚したときに、さわさんが驚いていました。
金峯山寺に親子でハデで下品な格好で詣でて世の失笑をかったこともそうだし、女性関係がハデだったことも、潤沢な経済状況に支えられたものだったのでしょう。
宣孝の仕事ぶりはテキトーだったみたいで、賀茂臨時祭のときに仕事を忘れて怒られたり、祈雨の使者として丹生社に行ったときに、地元人に乱暴されてクビになったりしたことがあります。
朝廷の使者に乱暴した地元人でなく、使者の宣孝がクビになったということは、宣孝がよっぽどのヘマをしたということでしょう。
ただ、このときは選子内親王の女房たちから慰めの歌を贈られています。オマ、、、モテすぎだろ! 為時とは大違いですね。
プライベートでは金回りが良くて女性関係がハデだったことに加えて、公の場でも賀茂祭の舞人に何回か選ばれるほどダンサブルで、賀茂臨時祭のバックオーケストラのリーダーを務めて行成に絶賛されたりしています。
全体的に、実際の宣孝も、佐々木蔵之介が演じているドラマ版宣孝そのもののキャラだったと言えますね。佐々木蔵之介さん、さすがです。
ひとつ、宣孝にしては地味なエピソードがあって、20年間にわたって日記をつけていたみたいです。
長保三年(1001年)の春にまひろのパパ為時が帰ってきますが、4月25日に宣孝は死去してしまいます。
年表
では、藤原宣孝の略年表を示します。年齢は数え年です。
982年:現、左衛門尉。円融天皇の蔵人。
984年:六位蔵人に任命され、左衛門尉を兼任。
円融天皇が花山天皇に譲位すると、院判官代に補任された。10月17日、花山天皇の蔵人になる。
11月、賀茂臨時祭の仕事がテキトーで、怒られる。
985年:7月18日、祈雨使として丹生社に行くも、土地の人に乱暴されて、クビになる(殿上の札を削られる。)。
10月、為時たちと大嘗会御禊に奉仕。
990年:3月、金峯山詣。
8月、筑前守に任命され、筑紫に赴任。
992年:大宰少弐を兼任。
993年:従五位上に昇進。
995年:任期を勤めて帰京。
998年:正月、右衛門権佐。
春、紫式部帰京。
4月、賀茂祭舞人を務める(『権記』長徳四年3月20日条)。
8月27日、兼山城守。9月25日、任符を受ける。
晩秋、紫式部と結婚。
11月、賀茂臨時祭舞人奉仕(『権記』11月30日条)。
999年:8月、宣孝の荘園・田中荘の悪人が、良米使を殺害して逃走。
11月11日、神楽人長を務める(『権記』長保元年11月11日条)。
11月17日、宇佐使として出発。
この年、賢子が生まれる。
1000年:2月3日、帰京して、道長に馬を贈る。
4月、平野臨時祭勅使。
7月、内裏相撲召合に列席。
1001年:4月25日、死去(尊卑分脈)。このときは正五位下中宮大進兼山城守かな。
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