【目次】
・惟規伝1
・惟規伝2
第36話はこちら
第32話~35話はこちら
第19話~第31話はこちら
第5話~第18話はこちら
第1話~第4話はこちら
歴史を知れば、大河ドラマの演出がもっと楽しくなる
史実と異なる演出にこそ、ドラマの面白さがあるのではないでしょうか
こんにちは のぶたです
今日は、“ドラマが語らない!盗賊事件不都合な惟規伝”と
”ドラマが封印したまひろ倫子の女の戦い“を中心に
37話「波紋」が取り扱った寛弘五年(1008年)後半の諸相を詳しく解説していきます
歴史的に見れば、比較的平穏な時期だったといえるでしょう
1,惟規伝1
ときは彰子ちゃんの出産から2ヶ月さかのぼる7月17日
前日に、ドラマでもあったように懐妊した彰子ちゃんが実家の土御門殿に帰ったのですが
そこで、一条天皇は蔵人の惟規を勅使にして、手紙を彰子ちゃんに届けさせました。完全に人選ミスですね。
手紙を届けた惟規は寝殿に通されて、そこで、アネキの間男、、、ゲフンゲフン
、、、トップクラスの公卿たちから酒のもてなしを受けて酔っ払ってしまいました
酔っ払った惟規は、立ったままお礼を言うべき場面で座ったままお礼をしたので、大恥をかきました
まあ、今で言うなら、やっと役所の末端に就職できた公務員が、なぜか総理大臣の自宅に通されて
総理大臣や官房長官とか大臣とかから「おう、酒飲め飲め」って、強いられたわけですから
、、、まあ、平成以前の社会人なら「もう飲めません」とか言えないですよね
てか、サラリーマン処世術的には、酔い潰れて笑ってもらうのがむしろ正解行動な気がします
2,ドラマが封印したまひろ倫子バトル
道長から女郎花をもらっています あ~や~し~い~
そして彰子ちゃんが産気づいた9月9日、重陽の節句ということで、倫子から菊の着綿をプレゼントされます
このとき、プレゼントといっしょに、「よくよく老いを拭い捨ててね」という倫子のメッセージを受け取ります
この贈り物とメッセージには、倫子の素直な感謝が込められていたという説と
道長と肉体関係があった紫式部に対する牽制攻撃だったという説があります こわいですね。。。
ドラマでは、倫子が道長まひろ関係を疑うのは、敦成親王出産後の五十日祝でしたね
ドラマの倫子はともかく、赤染衛門は完全に道長まひろ関係を確信していますよね こわ~
ということは、今後ある人物が彰子に宮仕えしてくるときに
赤染衛門がどんな顔をするのかが楽しみになるわけです
いや~どうなるんでしょう これは奥様恋愛勢は待ち切れないですね
3,冊子づくりとコンプラ問題
このときの様子は、けっこう『紫式部日記』の記述に忠実でしたが おもしろい話が省略されています
冊子づくりをしていたある日、紫式部が彰子ちゃんの前に仕えていたスキに
道長がこっそりと紫式部の寝所を家探しして 隠してあった修正前の草稿を根こそぎ持っていったのです
この草稿はキラキラ妍子ちゃんにプレゼントされるんですが、、、問題はそこじゃないですよね
ドラマの設定にあてはめてみるなら
愛人が正妻との娘といっしょにいるスキに、愛人の部屋に無断侵入して大事なものを盗んでいくとか
現代のコンプライアンスなら大問題行動ですね
しかも、それを正妻との別の娘にあげるとか、、、あ、さっき「問題はそこじゃない」といいましたが、
やっぱりこれも問題ですねえ
4,馬中将の君輝けず
馬中将の君の唯一有名なエピソードは割愛されてしまいました
ドラマでもあったように、彰子ちゃんが一条院内裏に帰ります
一条院内裏は一条殿を内裏のかわりとしているという場所です なぜなら
煩雑になるからか、ドラマでは省略されていますが、この時期は火事が多く
一条天皇などは内裏以外の場所に住んでいた時期が長いです
さて、彰子ちゃんが内裏に帰るときの話ですが
牛車は四人乗りなのですが、彰子ちゃんは宮の宣旨と二人で乗ります
宮の宣旨が女房筆頭の位置にいることが分かります
彰子と敦成親王は別の牛車なんですねえ
この少輔の乳母は別人です
馬中将の君が露骨にいやな顔をしているので
紫式部は「なんて大げさな。これだから宮仕えの人付き合いってメンドクサイ」と思います
まあ、紫式部のほうももともと馬中将の君のことをキライだったみたいで
一月前に一条天皇が彰子ちゃんの実家に行幸してきたときは
馬中将のコーディネートを「悪目立ちしていてダサい」と批判しています
5,惟規伝2
12月25日、公的な法要がありました
惟規は僧侶にお礼の綿を配る役をまかせられるんですが
惟規はなぜか一人の僧侶にドサッと全員分の綿を渡します、、、「わた」なだけに!
結果、僧侶たちが綿を奪い合うことになってしまいました
ロバート実資は日記で「なにやっとんねん!」と怒っています
確かに、まったく擁護しようがない不正解行動ですね
6,惟規と盗賊事件
12月30日、今で言う大晦日です
夜中に中宮の殿舎あたりに盗賊が入って、二人の女房の衣装を剥ぎ取って逃走しました
ドラマでは社会的なご事情により女房は単衣を残していましたが
原作(史実)ではすっぽんぽーんでした
現場に駆けつけた紫式部は恥も捨てて大声で
「殿上に兵部丞という蔵人(惟規のこと)がいるから、早く呼んでー!」と叫びました
ドラマでも「兵部丞を!」と言っていましたね あれは、いるはずの惟規のことだったのです
でも、いるはずの惟規くんはどこにもいませんでした ここでビシッと決めることができないのが惟規ですね
ちなみに、翌日に紫式部は、昨夜は衣装を取られてすっぽんぽーんだった二人の女房が
何食わぬ顔をして彰子に仕えている姿を見て
「こわかったけど、なんか笑える」と思っていました
次回は、伝説の陰陽師を誕生させた大事件です 楽しみです
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