【目次】
①キラキラ妍子の出産と道長
②三条天皇の眼病
③隆家の眼病
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歴史を知れば、大河ドラマの演出がもっと楽しくなる
史実と異なる演出にこそ、ドラマの面白さがあるのではないでしょうか
こんにちは のぶたです
今日は、43話「輝きののちに」を解説していきます
ドラマの雰囲気がすでにまとめに入ってきてませんかね?もうすぐ完結と思うと寂しいです。
道長と三条天皇の関係って、昔と今で学界の解釈がだいぶ変化しています。
そのあたりが、ドラマではどのように描かれたのでしょうか。
【キラキラ妍子の出産と道長】「悦ばざる気色はなはだ露わ」
キラキラ妍子の出産にまつわるエピソードが軽く流されたので、ちゃんと見ておきたいと思います。
妍子が禎子を産んだのは、長和二年(1013年)7月6日です。計算すると、前年の10月ごろに身ごもったことになります。
前年の8月7日に妍子が内裏に入ったのですが、三条天皇は7・8月はマラリアでヘロヘロでした。
9月には治ったそうなので、病み上がりの体をおして、
自分の子に皇統を残すために、そうとうにがんばったんだと思います。
もう政界の空気的に、娍子の子の敦明親王が公卿たちの支持を得られるような状況ではないものですから。
改めて8月7日、妍子が禎子内親王、すなわち女の子を産みます。
道長も(おそらく三条天皇も)政治的に皇子、すなわち男の子を望んでいたので、落胆します。
特にこのときの原作(史実)の道長イヤなヤツエピソードがあります。
原作(史実)の道長は露骨に不機嫌な態度をとり、公卿たちに会うことすらしなかったというのです。
道長は、日記『御堂関白記』にもなんの感想も書いていません。
こんな道長の態度に、ロバート実資は「天のなすことなのに、、、」と日記『小右記』で呆れています。
さらに、その後数日間も道長の露骨な不機嫌は続くのです。いいんですか、道長さん、因果応報を知っていますか。
このとき生まれた禎子(よしこ)内親王は、後に後朱雀天皇(敦良親王)の中宮となって、尊仁親王(後三条天皇)を儲けます。
そして、この尊仁親王こと後三条天皇が、ドラマの完結よりも未来において、摂関政治を終わらせることになるのです。
【三条天皇の眼病】
長和三年(1014年)3月1日、三条天皇は自身の病気について、資平に語ります。
「ここ数日、片目は見えないし、片耳も聞こえない。夜はもっとキツい」とのことです。
この病については、①炎症性緑内障(服部敏良)説と、②脳腫瘍(赤城志津子)説と、
③嗅窩もしくは鞍結節部に発生した髄膜腫(佐野圭司)説があるようです。
古代医術の用語では、「明盲目病(あきしいめやみ)」だそうです。
ドラマでもあったのですが、三条天皇は「金液丹」という丹薬を二度服用します。
古代人は知らないのですが、、、
実は、この金液丹には砒素(毒)と硫化第二水銀(毒)が含まれているんです。
あ、ただ、これは悪意ではなく、当時の医学的知識の不足によるものですよ。
症状が急に悪化した理由には丹薬の成分による中毒も加わっている可能性があります。
なお、三条天皇はこの後、呵梨勒丸(かりろくがん)というインド系の薬や、
娍子が献上した紅雪(こうせつ)という万能薬も服用しています。
さて、道長と三条天皇との譲位バトルがいよいよ始まりました。ドラマでも道長と道綱が並んで圧力をかけていました。
この譲位バトルについては、昔の学界では、道長の権力欲による嫌がらせと説明されていました。
しかし、最近の説では、三条天皇の人事はかなり恣意的で、公卿社会に軋轢を生じさせていたし、
それによって、一条天皇のときとは異なり、道長のような公卿との協力関係を損ねていた。
また、三条天皇の病状は客観的に見ても政務に支障がでるものであり、
やっと皇位につけたという気持ちは分かるし、自分の皇統を残したいという気持ちも分かるものの、
三条天皇が皇位に固執して政務が滞れば、民の不利益となりかねない。
といった、三条天皇側の問題もクローズアップされてきています。
一条天皇が最後に歯を食いしばって、政局を混乱させないために「敦成を東宮とする」
と言ったようなことができていないんです。今の三条天皇は。
ドラマは、三条天皇のワガママだけでなく、道長の権力欲もあるという両面にスポットが当てられていました。
とてもおもしろい描き方だったと思います。
【隆家の眼病】
前年に隆家は「突目」(つきめ)をしてしまい、仕事にも出られないくらい苦しんでいました。
ドラマでは、狩をしているときに枝が当たったと言っていました。
これは、現代医学用語でいうところの「匐行性角膜潰瘍」です。
匐行性角膜潰瘍は、角膜の傷が細菌に感染して起こる化膿性の潰瘍です。
角膜の濁り、痛み、眩しさなどの症状があり、進行すると、なんと黒目に穴が空くこともあります。こわっ。
ドラマで内裏が火事になったころ、隆家は眼病平癒を祈願して熊野に詣でています。
3月16日、隆家は皇后宮大夫を辞退します。かなり目がキツかったようです。
6月には砂金十両で宋の治眼薬を購入しています。ボッタクられてませんか、隆家さん。
8月に入って、隆家が実資に眼病について相談をします。
ドラマでは、ロバート実資が隆家邸を訪問していましたが、
原作(史実)では、隆家が実資邸を訪問しています(『小右記』)。
ロバート実資に隆家が座を譲るシーンが撮りたかったのでしょうか。
11月7日、行成を押しのけて、隆家が大宰権帥として大宰府に赴任することになりました。
これは、三条天皇を無視して、道長たち公卿だけで決めたものでした。
隆家を大宰府に行かせたかったロバート実資も、この決め方には憤慨しています。
さあ、もうすぐ隆家の最大の見せ場、そして、あるか戦闘シーン、の刀伊の入寇ですね。楽しみです。
その前に、次週は望月の歌ですか。これもたまりません。待ち切れないですね。
これからも大河ドラマ話や、日本史の話でもりあがっていくので
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ありがとうございました
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