【目次】
源俊賢(みなもとのとしかた):本田大輔
まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。
ドラマの紹介に「道長に権力が移るのを冷静に見定め、頭角を現していく」とあるように、妹の明子が道長に嫁いだり、四納言の一人と称される能吏となったりします。以下で紹介しますが、俊賢は一度道長派となったあとは、徹底して道長におべっかをつかいます。
エピソード18「うつろい」の995年には俊賢は従四位下なんですが、四位以上が着ることができる黒の束帯や、五位が着れる赤の束帯ではなく、六位が着る麹塵(緑系の色)の束帯を身に着けていますね。これは、以前のロバート実資と同じです。
本田大輔(ほんだだいすけ)
東京都出身の俳優です。大河ドラマでは「龍馬伝」「麒麟がくる」に出演しています。
解説:実際の源俊賢・その後の源俊賢
左大臣源高明の三男で、母は藤原師輔の娘です。醍醐天皇の子孫にあたります。大学受験的には、源高明は969年の安和の変で失脚した人ですね。道長パパ兼家も高明追い落としに関係していたと言われています。このとき、俊賢は10歳でした。
つまり、俊賢・明子兄妹にとって、もともと右大臣家は政敵だったんです。
あ、いちおうですが、俊賢の母は藤原師輔の娘なんで、そもそも俊賢は道長の従兄弟でもあります。複雑ですね。
大河ドラマでは飛ばされた992年、蔵人頭への任命争いで、従四位上の藤原斉信をぶっこ抜いて、正五位下の俊賢が蔵人頭に任命されました。
道長の日記『御堂関白記』でも、勤公が人に優れていると高く評価されています。
(参考:『藤原道長事典』)
このとき、ロバート実資は、「そんな話はこれまで聞いたことがない。(実資と同系の)小野宮流の公任も(ライバル家の彰子に)和歌を献上しやがった。最近の連中は権勢者に追従ばっかりしやがって。フザケンナ」とご立腹でした。実際、ロバート実資は、何度も和歌を献じるように要請されても、言い訳して最後まで拒否しました。
長保五年(1003年)
大宰帥平惟仲がクビになりそうなときに、惟仲の味方をしました。
彰子が第二子・敦良親王を産んだとき、出産三日目の産養の儀では、中宮権大夫俊賢は、四百両分の銀食器の御膳を用意して、敦良親王の御衣を玉で飾った二合の筥に据えました。
ちなみに、このとき中宮大夫斉信は、用意した州浜(すはま・お菓子の一種)に二尺(約60センチメートル)の銀の鶴二羽を立てています。
寛弘八年(1011年)
7月17日、道長の宿所で、源俊賢たちが前月に崩御しした一条天皇をディスります。
道長と三条天皇が争っているとき、三条天皇はロバート実資に、「道長が私に譲位して、敦良親王を東宮にしろという圧をかけてくる。公任や俊賢もいっしょになってプレッシャーをかけてくる」と訴えています(『小右記』)。
年表
では、源俊賢の略年表を示します。年齢は数え年です。
960年:1歳。誕生。
969年:10歳。安和の変で父源高明が失脚。
975年:16歳。叙爵。従五位下。
(歴任)侍従→左兵衛権佐→右中弁→太皇太后宮(詮子)権亮→蔵人頭など。
1002年:43歳。左中将・中宮(彰子)権大夫。
1004年:45歳。権中納言。
1010年:51歳。一条院造営の賞により正二位。公任・行成・隆家を超える。
1011年:52歳。中宮(彰子)大夫。
1012年:53歳。皇大后宮(彰子)大夫。
1017年:58歳。権大納言。
1018年:59歳。太皇大后宮(彰子)大夫。
1019年:60歳。致仕。
1027年:68歳。出家して翌日死去。半年後に道長も死去。
「光る君へ」を楽しむ文献リスト
オススメ!『光る君へ〈紫式部とその時代〉』(NHK出版)→https://amzn.to/4arFW1V
オススメ!『紫式部と藤原道長』(倉本一宏)→https://amzn.to/3NqFJlT
オススメ!『清少納言と紫式部』(丸山裕美子)→https://amzn.to/47VQEvY
『藤原道長: 摂関期の政治と文化』(大津透)→https://amzn.to/3TD3HhI
『牛車で行こう!: 平安貴族と乗り物文化』(京樂真帆子)→https://amzn.to/3v8XWy6
『一条天皇 (人物叢書)』(倉本一宏)→https://amzn.to/47bdC0T
『藤原道長(人物叢書)』(山中裕)→https://amzn.to/3RBkChJ
『写真でみる 紫式部の有職装束図鑑』(仙石 宗久)→https://amzn.to/3v5Plfk
『平安朝 女性のライフサイクル』(服藤早苗)→https://amzn.to/41zozYW
『絵巻で歩む宮廷世界の歴史』(五味文彦)→https://amzn.to/3GTfjoX
『清少納言 (人物叢書)』(岸上慎二)→https://amzn.to/41BiCuP
『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』(倉本一宏)→https://amzn.to/3RUJq60
『平安京の下級官人』(倉本一宏)→https://amzn.to/3vc1X4H
『藤原氏―権力中枢の一族』(倉本一宏)→https://amzn.to/48lwBHm
『平安朝 皇位継承の闇』(倉本一宏)→https://amzn.to/4808Y7f
『皇子たちの悲劇 皇位継承の日本古代史』(倉本一宏)→https://amzn.to/3tE8XXw
『敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇』(倉本一宏)→https://amzn.to/3vi8qLm
『紫式部 (人物叢書 新装版)』(今井源衛)→https://amzn.to/485WYRC
『孫の孫が語る藤原道長』(繁田信一)→https://amzn.to/3tzJbUk
『藤原行成 (人物叢書)』(黒板伸夫)→https://amzn.to/4avVn9q
『文学で読む日本の歴史―古典文学篇』(五味文彦)→https://amzn.to/47fQ0Iu
『光源氏に迫る: 源氏物語の歴史と文化』(宇治市源氏物語ミュージアム)→https://amzn.to/3Nzs5wz
『藤原彰子 (人物叢書)』(服藤 早苗)→https://amzn.to/4aA73I4
『キャラ絵で学ぶ! 源氏物語図鑑』(伊藤賀一)→https://amzn.to/479NS55
『完全解説 装束の描き方』(ながさわとろ)→https://amzn.to/48oVba2
『平安時代天皇列伝』(樋口健太郎)→https://amzn.to/3v9CjNX
『図説 藤原氏』(木本好信)→https://amzn.to/48403lc
『源氏物語を楽しむための王朝貴族入門』(繁田 信一)→https://amzn.to/487H4GB
『平安貴族の仕事と昇進: どこまで出世できるのか』(井上 幸治)→https://amzn.to/48wt5tp
『平安貴族の住まい: 寝殿造から読み直す日本住宅史』(藤田 勝也)→https://amzn.to/48uCUbr
『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 源氏物語』(竹内正彦)→https://amzn.to/47e6MYq
『紫式部日記 現代語訳付き』(紫式部)→https://amzn.to/3RCP7El
『源氏物語 解剖図鑑』(佐藤 晃子)→https://amzn.to/4ausWIX
その他、面白かった本
『神作家・紫式部のありえない日々: 1』(D・キッサン)→https://amzn.to/3TwrGyZ
『神作家・紫式部のありえない日々: 2』(D・キッサン)→https://amzn.to/4axvben
『神作家・紫式部のありえない日々: 3』(D・キッサン)→https://amzn.to/41C8y4o
『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』(井上 ミノル)→https://amzn.to/3RrTvWw
『もしも紫式部が大企業のOLだったなら 大鏡篇』(井上 ミノル)→https://amzn.to/3tzKene
『大摑源氏物語 まろ、ん?』(小泉吉宏)→https://amzn.to/3tDJtcR
『まんがで読む古典 1 枕草子』(面堂 かずき)→https://amzn.to/3TzVwm4
『まんがで読む古典 2 更級日記・蜻蛉日記』(羽崎 やすみ)→https://amzn.to/3Tyl3Mr
『暴れん坊少納言 1巻』(かかし 朝浩)→https://amzn.to/41zq6hE
Comments